不動産投資をする時に宅建の資格は持っていなくてはいけないのかという質問を受けることがあります。
結論から言うと不動産投資をするのに宅建の資格を持っている必要はありません。
資格を持っていなくても不動産を購入することはできますし収益物件として運用していくことができます。
では宅建の資格を持っているとどのようなメリットがあるのか、不動産投資をするときに宅建の資格は取った方が良いのか、ということについて解説していきたいと思います。
宅建とは
宅建とは宅地建物取引士の略で宅地や建物などの不動産の取引をする際に必要な業務を行うことができる国家資格です。
毎年約20万人の人が受験をするマンモス資格と呼ばれています。
ただ不動産業に携わる全ての人がこの宅建の資格を持っている必要はなく、不動産会社でも事務所従業員の5人に1人以上の割合で宅建を持っていれば業務を行うことができます。
- 重要事項の説明
- 重要事項説明書の記名押印
- 契約書の記名押印
以上の三つの業務は宅建士のみが行うことができる業務なのですが、それ以外の業務については宅建の資格を持っている人じゃなくても行うことができます。
つまり物件の案内をしたり、営業を行うのは宅建士じゃなくても良いということです。
上記に挙げた三つの業務を行う場合宅建を持っている必要がありますが、不動産投資を行うオーナーにとっては必要な業務ではありませんので宅建の資格を持っている必要はないのです。
ですが近年では不動産投資を行うオーナーが宅建の資格を持っているというケースも増えてきました。
不動産投資家が宅建を持っているメリット
ここからは不動産投資家が宅建を持っているとどのようなメリットがあるのかということについて解説していきたいと思います。
法律的な知識が身に付く
不動産投資をしているとトラブルはつきものです。
どんなに良い条件の物件だったとしても、トラブルが多い物件では手間がかかってしまい、自分が働かなくてはいけなくなります。
不動産投資をしたいと思う不動産投資家はなるべく「不労所得」を得たくて投資を始めるでしょう。
その理想的な不労所得の仕組みを完成させるためにも、あらかじめトラブルが起きないよう、リスク回避する能力が必要です。
例えば境界がしっかりしていない不動産は要注意、だとか、契約書の特約の内容をしっかりと理解しておく、だとか。
不動産投資における法律の知識があれば、トラブルを回避するために、特にどんなところに注意しておけば良いのか、ということがわかります。
トラブル回避のための嗅覚を養うことができるわけです。
宅建を学ぶことによって、法律的な知識は嫌でも頭に入れなくてはいけなくなるので、
そういった知識を持って不動産投資をすることができれば、トラブルに対応しやすいというメリットがあるでしょう。
重要事項説明などの内容が理解できる
不動産投資における契約内容などの文面は、専門用語も多く、知識がないままに読むと難しくてよく理解ができません。
しかしこういった用語がどのような内容を指しているのかということが理解できていれば、契約内容をしっかり把握した上で契約を締結することができます。
どうしてわざわざこんな周りくどい言い方をするんだろう、と思うことが私もよくあるのですが、
実は理解できればそこまで難しいことを言っているわけではない、という文面が不動産業界では多くあります。
宅建の勉強をすれば一通り専門用語も理解できるようになりますので、売買契約など、重要な契約をするときも、重要事項説明の内容への理解が深まるので良いでしょう。
不動産業者から信頼度が上がる
宅建を持って不動産投資を行なっている、というだけで不動産業者からは「しっかり勉強をして、本気で不動産投資をしようとしているんだな」と思ってもらえるでしょう。
不動産業界というのはまだまだアナログな世界で、業者の担当者とどれだけコミュニケーションを取れるか、どれくらい信頼してもらえるかが不動産投資の結果に大きく影響してきます。
宅建を持っているというだけで、不動産業者へのアピールにもなるでしょう。
不動産取引業もできる
宅建の資格を持っていれば、不動産取引業も行うことができます。
投資をするだけでなく、仲介などの新規事業を行っていくこともできるので、多岐に渡って不動産と関わっていくことができるというメリットもあります。
投資でそれなりに不動産のことがわかってきたら、新規事業を開拓していくのもいいかもしれません。
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宅建の出題範囲は不動産に関わる部分だけではない
さて、ここまでで宅建のメリットをたくさん説明してきましたが、宅建の出題範囲はかなり広く、不動産に関わる部分だけ勉強すればいいというわけではないんですよね。
どちらかというと民法や権利に関して学ばなくてはいけないところが多く、不動産のことだけ知りたい、という方にはおすすめはできません。
不動産に関わる勉強がしたい、という方には退屈に感じる範囲が多いと思います。
もちろんそういった法律に関する知識は不動産投資をする時に役立ちますが、不動産の勉強しかしたくない、という人は無理して宅建の資格を取る必要はないでしょう。