皆さんIT重説という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
新型コロナウイルスの影響でさらに注目されているIT重説。
実は新型コロナウイルスが流行する前の2017年10月より本格運用が始まっています。
今回はこのIT重説について実際どういうものなのか?どのようなやり方をするのか?そのメリットとデメリットも踏まえて解説していきたいと思います。
IT重説とは
IT重説とはITと重要事項説明を組み合わせた造語で、元々は不動産会社の宅建士と対面で行う必要がある重要事項説明をインターネット上で完結させることができるやり方のことを指します。
賃貸契約、売買契約のどちらでも宅地宅建取引士の資格を持っている宅建士と契約者が顔を合わせて実施するものでしたが遠隔地でも重要事項説明の手続きを行うことができるので少しずつ普及してきていました。
新型コロナウイルスの影響で感染防止にも有効であり、現在注目されているやり方になります。
IT重説は国土交通省主導の社会実験段階を経て2017年10月より本格的な運用が開始されています。
しかしこの運用が開始されているのは賃貸契約に関する重要事項説明に関してのみであり、売買契約における重要事項説明は社会実験段階です。
賃貸契約におけるIT重説は前不動産会社が実施を認められていますが、売買契約に関する重要事項説明は、国土交通省が認可した社会実験参加事業企業でしかIT重説を行うことはできません。
2020年5月に事業者を追加募集しており現在は約700社まで社会実験参加企業が増えています。
国土交通省のホームページで実験事業者として登録されている不動産会社が公開されておりますので、売買契約における重要事項説明をIT重説で行える不動産会社を探している場合はチェックしてみましょう。
またIT重説を取り扱うことができる不動産会社でもIT重説の実施に売主が同意していない物件の場合はIT重説を行うことができません。
IT重説に対応している物件に関してはITを利用した重要事項説明対応物件という文言が表示されています。
必ずしも表示義務があるというわけではないので興味のある物件にアイコンが表示されていない場合は実験事業者に確認してみると良いです。
関連記事:不動産を購入する時の重要事項説明の内容
IT重説のやり方は?
IT重説を行うには準備や手続きが必要になります。
国土交通省が発表しているガイドラインがありますのでそれに沿ってIT重説を行っていくようにします。
オンライン通話環境の確保
まずIT重説を行うためにはインターネット環境とテレビ通話を行うための準備が必要になります。
カメラ付きのパソコンかスマートフォンで行うことになりますが、Wi-Fi環境がない場合はスマートフォンだと莫大な通信費がかかってしまったり、通信が安定しないなどの場合がありますので普段からオンライン通話をよく使っている人じゃないとIT重説は現実的ではないと思います。
賃貸にせよ売買にせよ大切な契約を結ぶための手続きですので、しっかりとした環境が整えられていることが望ましいです。
場合によっては2時間から3時間ほどテレビ通話を行わなくてはいけないこともありますので電源もしっかり確保しておきましょう。
これらの条件を揃えることができないのであれば、ネットカフェなどの個室利用などをするのも良いと思います。
IT重説でよく使われる通話アプリは以下の通りです。
- Zoom
- LINE
- Skype
- GoogleMeet
事前に不動産会社が使用するアプリやサービスの案内をしてくれると思うので使い方をしっかり調べておきましょう。
テストで一度誰かと通話をしておくと良いと思います。
書類の準備
IT重説を行う際は契約者の手元に重要事項説明書と契約書の原本が必要となります。
IT重説が行われる前に不動産会社から送付されますのでこれらの書類の準備をしておきます。
また事前に契約書には目を通して質問がある場合はチェックをしておきましょう。
実際のオンライン通話が終わってから必要箇所へ署名・押印をし、返送します。
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IT重説のメリットデメリット
対面する必要がないのがメリット
賃貸契約書の場合は1時間程度、売買契約の場合は2〜3時間程度直接対面して重要事項説明の内容を聞かなくてはいけませんでしたが、
IT重説の普及によって長時間対面で話を聞かなくてはいけないということがなくなりました。
特に新型コロナウイルス感染防止の観点からメリットが大きいと言えます。
直接対面する必要がないので重説を行う場所まで移動をしなくてはいけないということもありません。
遠隔地でも重要事項説明を行うことができますし、移動時間もゼロにすることができます。
移動しなくて良いので効率がよくなりますし、この点においても新型コロナウイルス感染拡大防止にもなるでしょう。
手続きが少し煩雑になるのがデメリット
対面で読み取れる情報というのはとても多いので、どうしてもオンライン通話になることによってタイムラグが生まれたり、相手の雰囲気がわかりづらいなどといったデメリットがあります。
契約も通常の重要事項説明であればその場で署名・押印をすることができますが、IT重説の場合はそれぞれが署名押印をして返送をするというような煩雑な手続きが必要になってしまうため時間がかかります。
また普段オンライン通話に慣れていない人にとってはオンライン通話の環境を整えるのにも一苦労でしょう。
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