不動産業者の中で「囲い込み」というオーナーにとっては喜ばしくないことが蔓延しています。
今回はこの不動産の囲い込みについて、どういうものなのか、どんなことに気をつければ良いのか、ということを解説して見たいと思います。
不動産の囲い込みとは?
囲い込みとは不動産売却時に気をつけなくてはいけないことです。
不動産会社が利益を独り占めするために、物件の情報を他の不動産会社に公開せず、自社の顧客網や自社のWEBサイトのみに掲載したりすることです。
一般的に物件を売却する時は、不動産業者と専任媒介契約を結びますが、この契約形態の場合、7日以内に物件の情報を不動産流通標準情報システムであるレインズというものに登録する義務があります。
このレインズは他の不動産会社も見ることができるシステムなので、多くの不動産会社で物件情報を共有すれば、物件を売却したいという人の目的が速やかに達成できます。
しかし不動産会社からすると、買主も売主も自分の会社で取り扱うことができれば「両手仲介」になり、買主からも売主からも仲介手数料をもらうことができるので、なるべく他の不動産業者には紹介したくないんですね。
売主は自分の会社と契約をしていても、買主を見つけ出したのが他の不動産業者だと、片手仲介となり、買主からは買主を見つけ出した不動産業者の方に仲介手数料が入るので、なるべく売主も買主も自分のところで決めたい、ということです。
このように、両手仲介にするためにわざと他の不動産会社に情報共有しないようにすることを囲い込みと言います。
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囲い込みのやり方
不動産会社のWEBサイトなどで、「会員様だけ見られる情報」だったり、「他業者取扱不可」といった記載がされている物件情報が掲載されていることがあります。
これらの多くは囲い込み物件、ということになります。
通常であればレインズにも登録しなくてはいけないのに登録をしない、ということも多く行われていました。
登録をしていても「担当者が不在」などと言って、他の不動産業者からの連絡を止めてしまい、情報共有を行わないということも多くあったのです。
しかしレインズの運用規定で2013年10月に「正当な自由のない紹介拒否行為の禁止」というものが追加されました。
さらに2016年1月からは「取引状況」(ステータス)の記載も義務付けられ、物件の状況が「公開中」「書面による申し込みあり」など、誰が見てもわかるようにもなっています。
とはいえ「担当者が席を外している」と言われてしまえばそれまでですから、まだまだ囲い込みをなくす、という状況にはできていないのが不動産業界の実情なのです。
本当はレインズに登録してから2週間が勝負
通常は不動産を売りに出した直後が一番引き合いのチャンスがあるものです。
営業マンは毎日のように新着物件をチェックしていますから、新着があれば目に留まりやすくなるんですね。
一般的には、レインズに登録してから2週間程度が一番売れる確率が高い旬の期間と言われています。
しかし囲い込みをされていると、この時期を逃してしまいやすくなり、問い合わせがあっても売主に知らされない、ということもあります。
そのまま売れる気配がなく放置された物件はレインズを見ている人たちには「売れ残り物件」という目で見られることになります。
毎日レインズを見ている人には、「この物件売れないなぁ」というのがわかってしまうんですね。
本当は囲い込みが原因なのに、売れ残ってる物件と認識されてしまうと「売れない理由が何かあるんだろうな」と邪推されてしまうのも辛いところです。
そして物件が売れない理由として囲い込みをしている不動産業者からは「価格が高すぎる」と言われます。
値段を下げさせても両手仲介ができた方が不動産業者にとっては利益が高いですから都合が良い、ということですね。
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大手だから良いというわけではない
囲い込みについて詳しく知ると、「なるべく大きな不動産業者に依頼した方が安心かも?」と思われる方もいらっしゃるとおもいますが、大手だから安心できるというわけでもありません。
結局きちんとレインズに登録してくれて、あとは不動産情報サイトにも掲載してくれれば、そもそも集客に関してはあまり大差はないように思います。
逆に大手ではなくても、特定のエリアに強い、というような中小の業者もあります。
ネット上でクチコミなども調べて、できれば担当者とも会って話してみた上で、業者を決めた方が良いと思います。
両手仲介の仕組みをきちんと理解している上で囲い込みというものがあることを頭の隅に置いて、取引をする業者を選んでみてください。
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