不動産投資をする時に考えなくてはいけないのが投資リスクです。
中でも地震大国である日本で投資をする時に考えなくてはいけないのが地震に対するリスク。
所有している物件が倒壊してしまったり、地震による火災や津波などで被害を受けた時に補償してくれるのが地震保険ですが、
区分マンションなどの規模の小さい不動産投資でもやはり地震保険には加入した方が良いのでしょうか？
今回は改めて地震保険とはどういうものなのか、
そして区分所有マンションでも地震保険には加入した方がいいのか？そのデメリットとはなんなのか？を解説していきたいと思います。
地震保険とは
ではまず地震保険について、どのような保険なのか、ということを改めておさらいしておきましょう。
運営するのは民間の保険会社と国
地震保険とは、民間の保険会社と国とが共同で運営、提供している保険で、地震に起因する予期せぬ損害を補償してくれる保険です。
東日本大震災や熊本地震のように、大規模な地震が起きた時に民間の保険会社だけで補償することができない場合がありますので、民間の保険に対して国がさらに保険をかける再保険という形で運営されています。
必ず火災保険とセットで加入、保険料はどこも同じ
地震保険は単体で加入することはできず、必ず火災保険とセットで加入する保険になります。
火災保険に関しては完全に民間が運営している保険になりますので、そこに競争が生まれ、どの保険会社で契約するかによって補償内容や保険料が変わりますが、
地震保険に関してはどの保険会社で契約しても料金は同じです。
そのため地震保険を考える時は必ず火災保険のことも考えなくてはいけません。
保険金額は火災保険の最大50%まで
地震保険でかけられる保険金額は火災保険でかけた金額の最大50%まで、と決まっています。
たとえば2,000万円の火災保険をかけている建物の場合は、地震保険は最大で1,000万円までの契約、ということになります。
つまり全壊してしまう、というようなことになったとしても、補償されるのは火災保険でかけた金額の最大50%までなのです。
さらに言えば、建物の評価額の最大まで火災保険をかけていても、地震保険はその50%。
大規模な損害が出ても地震保険で全てをカバーすることは難しいということになります。
関連記事：【オーナー向け】火災保険の選び方
不動産投資において地震保険は加入必須なのか？
地震保険の加入率というのは実はそこまで高くありません。
損害保険料算出機構統計集の2020年度版によると、地震保険の世帯加入率は33.9%、さらに不動産投資に関していうと、契約件数は全体の1割にも満たない、という話もあります。
加入率が上がらない、地震保険のデメリットとして考えられるものは以下の三つです。
建物の耐震性が高い
1981年の6月に耐震基準も変わり、新耐震基準で建てられた建物に関しては「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という基準で建てられています。
特に区分マンションに関しては鉄筋コンクリート造のものが多いでしょうから、区分マンションが地震で全壊する、ということはなかなか考えられないのです。
ただもちろんリスクとして考えられるのは、地震による津波や火災の発生などの二次被害。
例えば周辺に木造住宅が密集しているような地域だったり、海が近くて津波が到達する危険性が高いような地域の場合は、地震保険には加入しておいた方が良いかもしれません。
火災保険では地震が原因となって発生した火災や津波による被害は補償できません。
保険金が削減される可能性がある
地震保険は地震保険に関する法律に基づき、1度の地震で支払われる保険金総額に限度額があります。
令和3年4月では12兆円という数字となっており、、今後の地震でこの限度額を超えるような被害が起こった時は「火災保険の最大50%の保険金額」という限度からさらに減額されてしまう、という可能性もあります。
補償が充実してない割に金額が高い
ここまで説明してきた通り、地震保険ではあまり補償内容が充実していません。
その割に保険料が高く、また火災保険の長期契約も期間の限度がどんどん短くなってきています。
長期契約をすれば割引になる火災保険の契約期間が短くなっている、というのは、実質値上げです。
そう考えると、地震保険には加入しない、という選択肢をとってもいいのかなとも思います。
関連記事：地震保険不要論って実際どうなの？
区分マンションでの地震保険加入はどうしたらいいか
例えば10戸以上あるようなアパートへの投資であれば、規模が大きいので災害リスクもまた高くなります。
損害額が大きくなりやすいですからね。
逆に区分所有であれば、規模は小さいですから、そこまで保険を厚くする必要はないんじゃないかなというのが個人的見解です。
建物も鉄筋のことが多いですし。
ただ、
- 建物が密集している地域
- 海や川が近い地域
の場合は、地震で被害が大きくなりやすい地域でもありますので、そういったところにある区分マンションへの投資であれば、地震保険を検討してみても良いでしょう。