- 離婚をすることになったけれど共有名義で持っている不動産の売却はどうしたらよいのか
- 共有で不動産を相続することになったけど、資産整理のために売却したい
というようなケースがあると思います。
今回は共有名義で所有している不動産を売却する際に注意するべきことについて解説していきたいと思います。
不動産の「共有」とは
不動産を共有するというのは共有の名義で不動産を所有するということです。
とってもお家を1/4と3/4に分けるみたいなことはできません。「この境界線からはあなたの持ち物」とすることはできませんよね。
ただそれぞれの持分がありそれぞれを登記するということは可能です。
共有をするシチュエーションとしては
- 相続をした時に兄弟などと一緒に共有で不動産を所有する
- 夫婦共有の名義でマイホームを購入する
- 二世帯住宅で500を共有の名義でマイホームを購入する
考えられるかと思います。
共有名義の反対で一人で不動産を持つという意味の言葉は「単独名義」という言葉になります。
単独名義は一人で不動産持っているのに対して共有名義は一つの不動産複数人で持っている状態を指しますが、
共有名義で不動産を所有している場合は、所有者全員の賛成がないと不動産を売却することはできません。
誰か一人でも売却に反対しているのであれば売却の手続きを進めることができませんので注意が必要です。
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共有持分権者のできることとできないこと
共有名義で不動産を持っている人の名義人のことを共有持分権者と言います。
単独名義で不動産を持っている場合と異なり、共有持分権者の場合はできることとできないことがあって制約も多いです。
共有持分権者ができることとできないことを紹介していきます。
単独でできること
不動産の現状を維持するために、建物を修繕したり不法占拠者を追い出したりすることは単独でも行うことができます。
専門用語でこれは「保存」と呼ばれる行為です。
また共有している不動産で居住する「使用」についても単独でできます。
この「使用」に関しては、不動産の持分に応じた使用ではなく、不動産全体の使用が認められているんですね。
そのため持分権者が持っている持分が少なかったとしても不動産全体を占有して居住してしまうということも可能になっています。
ここは少しややこしいところですね。
過半数の同意がないとできないこと
不動産を賃貸借に出したり賃貸借契約を解除したりする「利用」は共有持分権者の過半数の同意がないと行うことができません。
またリフォームやリノベーションクラスの「改良」に関しても同様に過半数の同意が必要となっています。
全員の同意がないとできないこと
不動産の売却をしたり抵当権を設定したり、借地借家法の適用のある賃貸借契約を締結するなどの「処分」と言われる行為については共有持分権者全員の同意がないと行うことができません。
口約束の場合成立しなくはないのですがトラブルになる可能性も高いので、全員の同意が得られる場合は必ず書面に残しておく方が良いです。
またここで言う過半数の意味ですが、人数ではなく「持分割合」で考えます。
つまり過半数の持分を一人の人が持っているのであれば、この人単独の考えでも過半数として認められるということです。
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共有名義の不動産を売却する時のやり方
共有名義者全員の同意が得られる場合
共有持分を持つ所有者全員の同意が得られるのであれば共有名義の不動産を売却することができます。
しかし一人でも反対する人がいる場合は売却をすることができませんので注意が必要です。
自分の持分だけを売却する
自分の持分だけを売却するということもできます。
この場合は共有持分者の許可は必要ないのですが自分の持分がどこまで持ち分かということを決めなくてはいけないので、建物が建っている場合は取ることができない選択肢です。
土地のみの不動産の場合は共有持ち分の部分のみ売却することができることになっています。
しかし実務上の話をすると、共有持分だけ購入したいという買い手はなかなか見つからないでしょう。
できなくはない方向なのですが、あまり現実的な方法ではありません。
名義変更して所有者を一人にする
共有で持っている場合は何かと不便なところも多いですから、共有持分権者のうちの一人が他の共有持分権者の共有持分割合を全て購入して単独名義にしてしまうという方法があります。
共有名義の不動産というのも扱いが面倒ですのでこれが一番やりやすいやり方なのではないかと思います。
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共有名義のまま不動産を売却する場合
共有名義のまま不動産を売却する場合は最低でも用意する書類があります。
- 権利証(登記識別情報)
- 土地測量図及び境界確認書
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 住民票
- 印鑑
- 委任状(共有持分権者のうちの誰かが売却行為を委任する場合のみ必要)
といった書類です。
このうち、身分証明書・印鑑証明書・住民票・印鑑に関しては共有持分権者全員文のものが必要になりますので注意が必要です。
共有持分権者全員が納得して売却をすることができるのが一番の理想ですが 、お金のように簡単にあけることができない不動産の場合は面倒な手続きも多く大変ですよね。
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