みなさんリースバックという言葉を聞いたことがあるでしょうか。
投資対象としてメリットもあるけれどデメリットも大きいのがリースバック物件。
今回はこのリースバックについて解説してみたいと思います。
リースバック物件とは
リースバックとはセール・アンド・リースバックとも言われるもので、
所有する不動産などの資産を売って、同時にそれを借りる金融取引の手法です。
たとえば取引対象が自宅だったとしたら、
自宅に住み続けたいけどローンの返済ができない…
という人が、自宅を売って、自宅の所有権は買主に移るけれど、その買主がオーナーとなって今度は前所有者に家を貸し出す、ということです。
通常の売買と同じく不動産投資家に直接売却することもありますが、
不動産業者に買い取ってもらって、不動産業者がオーナーとして貸し出す、ということもあります。
売主は自宅の売却代金を得た上で、賃貸として今の家に住み続けることができますので、引っ越しの必要がなく、愛着のある自宅から出ていかなくて済みます。
さらに持家が賃貸に変わることにより、固定資産税や管理費、修繕積立金などの維持費の支払いもなくなるため、メリットがあります。
ではこういったリースバック物件は、投資対象としてはどうなのでしょうか?
関連記事:不動産投資をするか自宅を購入するか、どちらがいいのか?
リースバック物件のメリット
まずはリースバック物件のメリットについて見ていきましょう。
安く買える
リースバックの物件は市場相場と比較すると2割〜3割程度価格が安くなる傾向にあります。
そのため、高い利回りを期待できるのが最大のメリットかなと思います。
投資は何よりも安く仕入れて高く売る、というのが基本ですからね。
特に立地の良いエリアや都心の物件の場合は、家賃設定もそもそもの周辺相場が高いと思いますので、それなりに良い利回りが期待出来るのではないかなと思います。
また、相場価格よりも安く購入することができることで、売却時にも利益が出しやすくなります。
リースバック物件の場合は一定の期間は賃貸物件として家賃収入を得て、その後市場価格で売却する、という不動産会社や投資家も多いです。
関連記事:地方の不動産はどうして都心部よりも利回りが高くなるの?
空室リスクが低い
リースバック物件の場合は通常の賃貸借契約と違って、不動産の売主がそのまま借主となります。
引っ越しなどがなく、権利だけが移るのであって、住んでいる状況は全く変わらないので、すでに入居者がいる状態で不動産投資を始めるのと同じことになりますね。
もともと住んでいた人が「どうしても住み続けたい」と思って取る選択肢がリースバックですので、退去する可能性も低く、安定した家賃収入を得られる可能性が高いです。
また、通常は中古物件を購入した時は入居募集をするために最初にリフォームをすることになると思いますが、リースバック物件の場合はその必要もありません。
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リースバック物件のデメリット
ここからはリースバック物件のデメリットについて解説していきます。
入居者はお金に困っていることが多い
リースバック物件として売り出された物件というのは、ほとんどの場合が自宅のローン返済ができなくなった人です。
それでもその家に住み続けたいから、所有権を売却して賃貸として借りる形で入居している。
自己破産に追い込まれている方もいて、そういう方が最初から入居者として入っているということになります。
一般の入居者と違って、愛着があってその家に住んでいるわけですから、かなり長期間での付き合いになっていくでしょう。
そこで発生するのが、
- 家賃滞納リスク
- 夜逃げリスク
です。
そもそもお金に困ってリースバックを選んでいるので、家賃が支払えない、ということも十分有り得るわけですね。
夜逃げの場合は、お部屋の中がゴミ屋敷になっていた、ということもあります。
つい先日も、私の友人が持っているアパートで20年以上長期で住んでいる入居者の夜逃げがあったそうなんですが、
お部屋の中がゴミ屋敷になっていて、原状回復に160万円かかることになってしまった、という話がありました。
中にはリースバック物件で退去時の原状回復費用が300万円、なんて話もあります。
リースバック物件は最初からリスクの高い入居者を抱えている、とも考えられますね。
ここら辺は「どんな入居者が住んでいるのか」ということをしっかりと調査した上で見極めた方がいいと思います。
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買い戻しがある可能性も
リースバックには買い戻し条項というものがついている場合があり、
一旦は売却したものの、前所有者が物件を買い戻したいと言ってくることがあります。
その場合は前所有者の希望で売り渡さなければなりません。
これは前所有者にとってはメリットですが、長期で物件の運用を考えている投資家にとってはデメリットですよね。
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リスクも多いリースバック物件ですが、細かく調査を行って投資をするのであれば、利益を出しやすいものでもあるかな、と個人的には思います。