住んでいるマンションに寿命が来てしまったらどうなるのでしょうか?
そもそもマンションの寿命というのはどれくらいのものなのでしょうか?
どんな建物にも寿命はありますし、一生住むことができる家というのはなかなかないものです。
今回はマンションの寿命について考えてみましょう。
耐用年数=寿命、ではない
物件には法定耐用年数というものがありますね。
物件の構造によってそれぞれ耐用年数は変わって来ますが、概ね以下のようになっています。
構造 | 法定耐用年数 |
木造 | 22年 |
S造(鉄骨)・骨格材厚≦3mm | 19年 |
S造(鉄骨)・3mm<骨格材厚≦4mm | 27年 |
S造(鉄骨)・4mm<骨格材厚 | 34年 |
RC造 | 47年 |
SRC造 | 47年 |
この法定耐用年数というのはあくまで「法律上の物件の寿命」になっており
減価償却費を考えるための目安として用いられるものですので、実際の建物の寿命とは関係ありません。
なので耐用年数を超えても人が住み続けている住居というのはたくさんあるものなんですね。
では物件の寿命、つまり住むことができる期間というのは何で判断されるものなのでしょうか?
マンションの建て替えというのはコンクリートの劣化や設備の劣化など、
さまざまな条件によって判断されるもので、「こういった症状が現れたら寿命だ」という明確な線引きがあるわけではないんですね。
マンションが劣化して来ても建て替えを行うことなくそのまま住民が住み続けている、というケースも少なくないです。
ただマンションの建て替えの事例を見てみると、旧耐震基準で建てられたマンションの場合は40年〜50年ほどがマンションの寿命と言えるでしょう。
管理状況がよく、こまめにメンテナンスをしているマンションであれば、寿命が60年〜80年、なんていうところもあります。
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建て替えが難しい理由
マンションの寿命が来たら建て替えをしないと住み続けることができない、と思う方が多いと思いますが
そもそもマンションの寿命の基準自体も明確ではないので、実際に建て替えを行なっているマンションは少ないのが現状です。
建て替えを行うにも、一戸建てならスムーズですが
集合住宅であるマンションとなると、なかなかスムーズには建て替えを行うことができません。
マンションの建て替えを行う際は、住民から高額な費用を徴収するケースがほとんどで、
そんななか、住人の4/5以上から賛成してもらう必要があるんですね。
つまり建て替えをしたくても建て替えられないマンションというのが世の中にたくさん存在しているのです。
適切な修繕をこまめに行なっていればマンションの寿命をある程度伸ばすこともできますが
マンションの空室が多く修繕費が集まらなかったり、修繕積立費の値上げに住人が納得しなかったりなどして
適切な修繕を行うことができないケースなどもあります。
修繕するにしても建て替えるにしても、集合住宅であるマンションだと色々と問題があるんですね。
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マンションの寿命が来たらどうなる?
マンションの寿命が来てしまったら、マンションを建て替える、という選択肢の他に二つ選択肢があります。
マンションを売却する
都心部や駅前近くにある需要の高いマンションなのであれば、マンションをそのまま売却する、ということもできます。
買い手が見つからないと成立しないことですので、
どうしても需要があるマンションでないとこの選択肢はとれないのがネックです。駅からの距離が遠ければ遠いほど、1年あたりの下落率が高くなります。
価格を下げれば売れるような好立地の物件であれば売却することもできますが、価格を下げても売れないような物件の場合は厳しいですね。不良債権のまま塩漬け状態になることもあります。
バブル期に建てられた地方のリゾートマンションでも、こういった状態になっている物件をみることがあります。
ただ、再開発がある場合もあります。ディベロッパーなどに売却すれば、そのまま土地と建物を売るだけでよくなりますので
建物を解体して更地にする、というような面倒なこともせずに済みます。
マンションを解体して土地を売却する
寿命がきてしまったマンションは解体して、更地にした状態で土地を売却する、というのも選択肢の一つです。
住人が解体のための費用負担をする必要はありますが、
ディベロッパーにそのままマンションと土地を売却するよりは土地を相場価格で売却できるでしょう。
ただ、建て替えと同じで住人の中には「ずっとここに住んでいたいので解体したくない」という人もいます。
住人の意見が割れてしまえば、取ることのできない選択肢となります。廃墟化するマンションが増えているのも、住人の意見の不一致が原因の1つとなります。
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マンションの建て替え費用と流れについて
マンションの建て替えですが、先ほども書いたように、建て替えをするには住人の4/5以上の賛成を得なくてはいけません。
中には「マンションが老朽化していてもそのまま住み続けたい」という人もいるでしょうから
なかなかこの割合の賛成を得るのは難しいんですね。
やがて空室率が高くなるなどして、さらにマンションの老朽化が進んでしまうことがあります。
有志の建て替え希望者が集まり、管理組合とも相談して建て替えについてのプランをまとめていき
住民からの賛成を得られるような計画書を作成する必要があります。
もし合意が得られるようだったら、建て替えに不参加の住民の権利などをどうするか、ということも考えていかなくてはいけません。
その後抵当権や賃借権などといった権利を、建て替えしたあとの新築マンションに移行することを国に認可してもらえば
晴れて建て替えが始まります。
しかしとんでもない流れですよね。
この面倒を考えると、マンションは住み替えの方がおすすめだと言えるでしょう。
大体築10〜15年ほどのマンションだったら築浅物件として扱われるので、高値でマンションが売れる可能性があります。
ずっとマンションに住み続けるよりも、住み替えの方向で考えた方が楽かもしれません。