不動産管理

定期借家と普通借家の違いとは?オーナーが知っておきたいこと

建物を賃貸に出す時の賃貸借契約の種類には

  • 普通借家(ふつうしゃっか)契約
  • 定期借家(ていきしゃっか)契約

の2種類があります。

 

オーナーである賃貸人はこの契約のどちらかを選ぶことが出来るのですが、それぞれどのような違いがあるのかきちんと把握していない方も多いので

今回は定期借家契約と普通借家契約の違いについて解説してみたいと思います。

 

普通借家契約とは

 

普通借家契約というのは賃貸借において一般的な契約のことを指します。

ほとんどの場合がこの普通借家契約で賃貸を出しています。

 

契約期間

 

普通借家契約の場合契約期間は2年というのが一般的ですが、契約期間自体は実は自由に定めることができます。

1年未満で契約をする場合は借地借家法第29条第1項より期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます。

 

中途解約

 

基本的に普通借家の契約の場合は中途解約をすることはできません。

契約の期間が満了した場合に契約を終了するのが一般的です。

 

しかし借地借家法は入居者をなるべく守るようにできている法律なので、特約がある場合その特約に則って中途解約をすることができるように定められているのが一般的です。

 

住宅の場合は1ヶ月から2ヶ月、それ以外のテナントなどの場合は3ヶ月から6ヶ月ほど前に解約予告を申し入れてから契約を終了すると言う特約内容になっているものが多いです。

また期間の定めのない建物賃貸借の場合はいつでも解約を申し入れることができます。

 

但しオーナー側から中途解約をしたい場合は正当な事由が認められない限り解約をすることができません。

基本的に借地借家法では入居者の安全な生活を守るために入居者側になるべく有利になるように法律が定められているのです。

 

オーナー側からの解約が認められる場合でも、解約の申し入れから契約終了に至るまでの期間は6ヶ月と定められています。

オーナーの意向で解約をすることがかなり難しいというのがわかるかと思います。

 

更新

 

普通借家契約の場合は契約期間が満了しても契約が更新されるのが一般的です。

基本的には契約期間満了の1年前から6か月前までに、双方が更新をしないという通知をしなかった場合は、契約が今までと同じ条件で更新されます。

 

ただしこの契約更新の方法についてもいくつか種類がありますので確認しておくと良いでしょう。

関連記事:賃貸物件の契約更新方法は3種類!オーナーはどれを選ぶべき?

 

家賃の減額

 

家賃の増減額請求権というのが普通車か契約の場合は認められています。

お互い合意があれば家賃額を変更することができます。

関連記事:家賃の減額交渉をされたらオーナーはどう対応したらいい?

 

定期借家契約とは

 

契約期間

 

普通借家契約とは違い定期借家契約の場合定めた期間を満了すれば確定的に契約を終了させることができます。

この定期借家契約というのは平成12年に導入されたもので、基本的に入居者にとって有利な内容になっている普通借家契約に対して、こちらの定期借家契約の場合は内容がかなりオーナー側にメリットが大きいものになっていると言えるでしょう。

 

何よりこの定めた契約期間で入居者が退去するのが確定しているというのがオーナー側にとって最大のメリットです。

どうしても生活を保護するために、何かトラブルがあったとしても「強制退去をさせる」なかなかできることではありません。

裁判を起こしても、いろいろな段階を経てやっと強制退去にこぎつけることができるような仕組みになっており、そこまでたどり着くことができないこともままあります。

 

一時的に物件を貸し出したいという場合はこの定期借家契約はとてもオーナーにとって便利な契約方法なのです。

定期借家契約の場合、契約期間に特に制限があるわけではなく一年未満の契約でも可能です。

 

中途解約

 

定期借家契約の場合は原則的に中途解約をすることはできません。

特約を結ぶことにより中途解約を可能にする場合もあり、「何ヶ月の予告期間をもって中途解約ができる」「違約金を支払うことで中途解約できる」といった内容にすることがあります。

また借地借家法第38条第5項でやむを得ない事情がある場合は解約の申入れをすることができると定められています。

 

更新

 

基本的に定期借家契約の場合は期間が満了することで確定的に契約が終了となります。

契約を継続する場合は更新という形ではなく再契約という形になります。

 

家賃の減額

 

家賃の増減額請求権は認められていますが、著しく不合理でない限り賃料の減額をしない旨の特約をつけることも定期借家契約であればできます。

関連記事:サブリース(家賃保証制度)のメリットデメリットを解説

 

定期借家と普通借家、どちらがいい?

 

定期借家契約と普通借家契約だとやはり大きく違うのは、定めた期間で確定的に入居者に退去してもらうことができるという点だと思います。

これはオーナーにとってはとてもメリットがあるでしょう。

 

ただし入居者側からすると定期借家契約は結びづらい契約でもあります。

 

そのため定期借家契約の場合は通常の相場家賃で貸し出すのが難しかったり、借り手がなかなか見つからないといったデメリットがあります。

転勤などでマイホームを一時的に貸し出すだとか、取り壊しが決まっている物件などでは定期借家契約も有効だと思いますが

むやみやたらに定期借家契約にしても入居付けで苦労してしまうでしょう。

関連記事:不動産投資において、トラブルになりやすい入居者とは

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