不動産管理

家賃の減額交渉をされたらオーナーはどう対応したらいい?

内見者から入居をする時に家賃の減額交渉をされたり、長く住んでいる入居者からもそういった交渉を受けることがあると思います。

 

最近では新型コロナウイルスの影響で、家賃を支払うことができないかもしれないという不安から入居者がオーナーに対して家賃減額交渉をするケースが一気に増えました。

 

令和2年3月31日に、国土交通省は賃料の支払いが困難な事情があるテナントに対して賃料の支払いの猶予に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討頂くよう要請を出したと報道がありました。

 

今のところテナントに関しての要請ではありますが、これからはお部屋を貸しているオーナーにも影響が出てくるのではないかと思います。

家賃減額交渉をされたらオーナーはどのような対応をしたら良いのでしょうか?

 

家賃を安易に減額してはいけない理由

 

「入居検討者を逃したくない」という気持ちや、「今退去されてしまったら困る」という気持ちから家賃の減額交渉に応じようとしてしまうオーナーも多いです。

 

特に新型コロナウイルスの影響は全世界で起きていることですし、

少しくらい入居者に対して負担を減らしてあげられるようにしてもいいのではないか、と思うオーナーも多いでしょう。

 

しかし新型コロナウイルスのケースに関しては、打撃を受けているのはオーナーも一緒です。

 

まずは家賃減額ではなく、他にできる施作はないのか、ということを入居者にも考えてもらうこと。

その部分をオーナーが一緒に考える、というのもいいかもしれません。

 

現在、諸外国では家賃の扱いは以下のようになっています。

  • 米国…120日寛の延滞料徴収や8月下旬までの立ち退き要求禁止。政府は家主も支援
  • 英国…未払いによる6月末までの退去要請を禁止
  • ドイツ…4月〜6月分の家賃は最大2年間支払いを猶予
  • シンガポール…最大6花月の支払いを猶予。政府が家主に税還付
  • オーストラリア…滞納による契約終了や手数料、利息の徴収禁止

こうして見てみると、諸外国でも家賃についての扱いには様々な指針が打ち出されていますが、オーナーに対して何かしらの緩和策が取られている国は少ないですね。

現時点では日本の場合は家賃に関して政府から補助金が出たりはしていません。

コロナによる影響を受けているのはオーナーも同じです。

 

オーナーに対しての何かしらの補償制度があるのであれば別ですが、入居者と同じように打撃を受けているはずであるオーナーだけが、入居者からの家賃減額交渉に応じる、というのは無理があるでしょう。

 

家賃の減額に応じるのであれば、せめてオーナーへの補償が決まってからではないでしょうか。

 

簡単に家賃を下げてしまうと、今度は上げるのが難しくなります。

新型コロナウイルスの終息をどの時点にするのか、という明確なボーダーが出てくるとも限りませんし

例えば景気が悪くなったことで家賃減額交渉をされ家賃を下げたとしても、今度は家賃を上げるのをどのタイミングにしたらいいかわからないでしょう。

 

結局「一度下げたものを上げるのはほとんど不可能に近い」と思った方がいいのです。

ただでさえ入居者とオーナーで比べると、法律は入居者が守られる用に作られています。

住居は生きていくために必要なものですから仕方ないといえば仕方ないことなんですけどね。

関連記事:オーナーチェンジの際に家賃値上げはできるのか?その方法とは?

 

家賃減額交渉に応じる前に

 

まずは家賃減額交渉に応じる前にできることを入居者と一緒に考えていきましょう。

 

リーマンショックの時に厚生労働省が住宅手当緊急特別措置事業というものを開始しています。

「自治体名+住居確保給付金」で調べることで情報が出てきます。

 

苦しいのはみんな同じですから、家賃減額交渉に応じる前にできることはないか、一緒に調べていく姿勢でいると良いのかと思います。

単純に家賃減額交渉をされた時に「こちらも苦しいのだから全く応じられない」という態度で返すのではなく、

「応じることはできないが、他にこういう制度を利用することができますよ」と案内するだけでだいぶ印象も変わってくるでしょうし、穏便に済ませることができるのではないでしょうか。

関連記事:家賃滞納をして夜逃げされてしまったら住民票で追跡できる?

 

修繕はきちんとすること

 

入居者から修繕依頼があったのにも関わらず修繕を行わなかったために家賃減額交渉を行われる、ということもあります。

2020年4月の民法改正において見直すべき賃貸借契約のチェックポイントでも少し触れていますが、最近は民法が改正されたこともあり、修繕依頼があったのに修繕対応をしなかった場合、入居者の方で勝手に修繕をして請求をする、ということも可能になってしまいました。

 

オーナーは安全に入居者が過不足なく生活を送ることができるよう、最低限の設備を整える義務があります。

そのため、修繕依頼に対してきちんと対応しなかったために家賃減額交渉をされた場合は、それも正当だと見なされる場合がありますので

もし修繕の依頼内容が設備に関するもので、入居者の生活に支障が出るようなものなのであれば、なるべく早く対応するようにしましょう。

家賃減額交渉を恐れるなら、その要因をなるべく排除することも大切だと思います。

関連記事:不動産投資において家賃滞納リスクを回避するためには

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