不動産投資の基礎知識

低層住居専用地域とは?投資家目線でそのメリットデメリットを考える

日本にある土地には用途地域が定められていますがそのうちの一つとして第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域という用途地域があります。

これは都市計画法で定められた「低層住宅の良好な環境を守るための地域」と定義づけられている用途地域です。

用途制限がある地域で住宅やそれに付随する小規模なお店事務所などは認められるのですが、それ以外の用途の建物に関してはほぼNGの地域となっています。

 

この地域に投資するのはどうなのでしょうか?

 

今回は投資家の目線で第一種低層住居専用地域についてメリットデメリットを解説していきたいと思います。

 

低層住居専用地域とは

 

低層住居専用地域には第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域があります。

第一種低層住居専用地域では具体的にどのような制限があるかと言うと

  • 高さは10mから12mまで
  • 建ぺい率は30%から60%
  • 容積率は50%から200%

その他にも日影制限など数々の制限があります。

 

高層ビルやタワーマンションなど大規模な建物が立ちにくい地域となっており、住んでしまった後に後から背の高い建物が建ってしまってお家が日陰になってしまうという心配もありません。

 

また建ぺい率の制限があるために建物が密集するということもなく、閑静な住宅街となっている地域が多いです。

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第一種低層住居専用地域と第二種低層住居専用地域に建てられるもの

 

全12種類の用途地域のうち、住宅を建てることのできる住宅専用の用途地域は以下の6種類です。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域

第一種低層住居専用地域はほとんどが戸建てで、隣家との距離もかなり広く取られている地域。

第二種低層住居専用地域は第一種よりも少し制限がゆるく、150平米までの店舗を建てることができる地域となっています。

 

それぞれの地域に建てられるもの、建てられないものをまとめました。

第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域
住宅
店舗/事務所兼住宅(非住宅部分が一定規模以下)
店舗 不可 可(150平米以下かつ2階以下)
事務所 不可 不可
ホテル・旅館 不可 不可
遊戯施設 不可 不可
運動施設 不可 不可
幼稚園/小学校/中学校/高等学校
大学/高等専門学校/専修学校 不可 不可
図書館
神社/寺院/教会
病院(診療所を除く) 不可 不可
老人ホーム

 

低層住宅地のメリット

 

大きな価格変動が起こりにくい

 

低層住居専用地域に定められている制限というのは早々変わるものではありません。

突然背の高い建物ができてしまってお家が日陰になってしまうといったこともありませんし

深夜営業の商業施設などもありませんので騒音に悩まされるということもないでしょう。

住み良い住宅環境を求めてその場所に住もうと決める人がほとんどです。

いわゆる高級住宅エリアと呼ばれる場所ですので、大きな価格変動も起こりにくいというのが最大のメリットです。

 

長く投資をすることを考えているのであれば、こういった価格変動が起こりにくいエリアというのは低リスクで投資ができる土地だと言えるでしょう。

 

ご近所トラブルが少ない

 

中でも第一種低層住居専用地域では敷地境界線から建物を1m以上離さなくてはいけません。

そのため建物と建物の間隔が非常に広くなっています。

 

この距離が離れているおかげで騒音などのご近所トラブルが起こりにくいというのもメリットでしょう。

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低層住宅地のデメリット

 

商業施設・病院などが少ない

特に第一種低層住居専用地域では、大きな商業施設を建てることが出来なくなっています。

  • スーパー
  • ショッピングモール
  • 飲食店
  • 病院

なども立てることができないので、徒歩圏内にそういった商業施設がない建物になってしまいます。

 

こういった商業施設が周りにない建物というのはなかなか不便な建物と言えるでしょう。

静かな住宅環境を取るか便利だけど騒がしい生活を取るかという話にはなってしまうのですが低層住居専用地域に関しては利便性は悪くなってしまうというのがデメリットだと思います。

 

交通の便が悪い

 

低層住居専用地域の場合は、どうしても商業施設が少ない場所にはなってしまうので駅も小さい駅であることが多く、メジャーな役ではないために交通の便が多少悪くなるということがあります。

なかなか都心に急に閑静な住宅街を作るというのも難しいので、どうしても低層住居専用地域の場合は利便性が悪いということは致し方がない部分になってくるでしょう。

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低層住居専用地域への投資はおすすめなのか?

 

ここまで低層住居専用地域について解説してみましたが、投資をするにあたってこの地域はおすすめなのでしょうか?

 

確かに高級住宅街に住むような人、ファミリー層などをターゲットとするのであれば低層住居専用地域というのはおすすめです。

ただ、どうしても物件価格は高くなりますし、利回りは低い物件が多いでしょう。

ターゲット層が限られているため、入居付けに苦労する場合もあります。

 

一度入居してもらえれば長く住んでもらえるとは思いますが、不動産事業の規模を拡大してなるべくたくさん収益をあげていきたいという人にはあまり向かないでしょう。

 

長く、低リスクで投資したいという人にはおすすめだと思います。

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