不動産投資の基礎知識

ビルオーナーは今後どうなっていく?オフィス物件投資の未来

コロナパンデミックの状況に置かれてもう1年半が過ぎようとしていますが、巷ではビルの「テナント募集」の張り紙をよく見るようになりました。

これからビルオーナーはどうなっていくのでしょうか?

私見ではありますが、オフィス用物件への投資の未来について考えてみたいと思います。

ビルオーナーのメリット・デメリット

まずはこれまで言われてきたビルオーナーのメリットデメリットをまとめておきたいと思います。

ビルオーナーのメリットとしては

  • 需要が高く賃料下落が起きにくい
  • 退去時の原状回復費用がテナント負担のため修繕費があまりかからない
  • 空室率が低い
  • 解約予告がかなり前から受けられる(居住用の場合1ヶ月前でOKなのに対し、オフィスは3〜6ヶ月前が基本)
  • 敷金保証金を多く取ることができる
  • 平均居住期間が長い

デメリットとしては

  • 初期投資が高額になりがち
  • 個人投資家だと参入が難しい

といったものが挙げられます。

ここで挙げたビルの空室率が低いというのと賃料下落が起きにくいというメリットですが、コロナ禍において、このメリットが崩れつつあります。

関連記事:地方の不動産はコロナでどんな影響を受けているか?オーナー目線で語ってみる

コロナが与えたビルオーナーへの影響

三鬼商事株式会社が発表した「オフィスマーケットデータ」によると、東京ビジネス地区の2021年3月時の平均空室率は5.42%で前年同月比の3.6倍増となっています。

平均賃料は坪当たり21,541円。前年同月比よりも4.7%減。

居住用の物件に関してはさほど大きな影響があったようには見られないのですがオフィス用不動産市場はコロナによって大きな影響を受けたと言えます。

関連記事:不動産投資は人口減少リスクがあるから危ない?

リモートワークによる地方への人口流出は広がるのか

20年度前半で都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の中でも最も高く平均空室率を示したのは渋谷区でした。

これはリモートワークに移行しやすいIT企業が集積するエリアと読み解くことができます。

仕事がリモートワークで可能なため地方に住まいを移したという人が増えているというニュースも見ました。

しかし実際このリモートワークを推進する流れは浸透するのでしょうか?

実際に自分の周りで働いている人の話を聞いていると、リモートワークを取り入れることができる企業というのはかなり限られているように思われます。

IT系の企業は確かに迅速にリモートワークを取り入れることができたようですが、それによって社員たちの仕事が効率良くなっているかと言うとどうもそのようには思えません。

働いている人たちの多くは

  • 「通勤が日々の運動になっていた」
  • 「外に出るというだけで気分が変わっていたのだと思う。ずっと家で仕事をしていると気が滅入る」
  • 「仕事で人に会うことによって自分もリフレッシュできていた」
  • 「家で仕事をしていると仕事とプライベートの境目がわからなくなって仕事中ものすごく眠くなってしまう」

と話しています。

結局仕事のほとんどがリモートワークになったという企業は少ないように思います。

緊急事態宣言やまん延防止措置がとられているにも関わらず、相変わらず通勤時の満員電車が解消しないのが答えでしょう。

もちろんやろうと思えばリモートワークでできる部分も多くなってきているとは思います。

しかし実際にそれを取り入れることが本当に仕事の効率化につながるとは限らないのです。

オフィスに出向くことによって仕事モードに切り替えるという人が大半なのでしょう。

これからもリモートワークというものが浸透していくようには思えません。

とはいえ毎日必ず会社に出社しなくてはいけないというような状況が少し変わってくるかもしれないことを加味すると、大規模なオフィスというのは縮小傾向になってくるように思います。

中小規模である企業向けのオフィス需要はこれまで通り変わらずあるのではないかと思いますね。

関連記事:地方不動産は今後どうなっていくのか考えてみた

店舗として構えなくても良い業種は増えるかもしれない

ゴーストレストランというような言葉が出てきましたね。これは店舗を持たないでレストランを経営するという方法です。

店内での飲食などはなくキッチンだけで調理を行い、全てデリバリーでレストランを経営するというやり方なのですが、飲食店だけではなく店舗がなくてもできる事業というのはこれから増えていくのではないかと思います。

アパレルなんかも展示・試着だけを行って実際の商品は配達で届ける、ということにチャレンジしている企業もありますよね。

GUやZARAなんかはそういった先駆けだったように思います。

こういった店舗もやはり都心などでは大きな店舗にする必要がなく中小規模な店舗で良いことになります。

お店の中に在庫を抱えなくて済むからです。

こういった事業の事を考えると、空中店舗も以前ほど不人気ではなくなる気がします。路面店である必要がないお店もありますからね。

ただやはりオフィスと同じで大規模な店舗である必要がないので中小規模の物件の方が人気が出てくるのではないかなと思います。

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