投資をする時に物件を探していると「テナント(店舗)付き賃貸物件」を見かけることもあると思います。
例えば8階建てのマンションで1階部分がテナント用、みたいな物件ですね。
ではテナントと住居はどのように違って、
こういった物件はどのようなリスクがあるのでしょうか?
物件の目的が違う
一般的な住居向けの賃貸物件と、テナント物件の一番の違いは
物件の目的が違う、ということです。
住居の場合は、オーナー目線で考えると
「入居者に喜んでもらうための物件」だと言えるでしょう。
- 設備
- 立地
- 日当たり
- 利便性
など、物件には様々な要素がありますが、それらが入居者にとって良いものであるかどうか
または、良い状態で提供することができるかどうか、ということが入居率や、定着率に影響を及ぼします。
対してテナント物件の場合は、
「店舗と店舗の事業のユーザーに喜んでもらうための物件」だと言えるでしょう。
店舗の事業のユーザー、つまりその事業のお客様、という第三の登場人物が現れるのがポイントです。
一般的な住居の賃貸物件であれば
- 「貸す人」
- 「借りる人」
の二人だけであったお話でも、
テナント物件の場合は
- 「貸す人」
- 「借りる人」
- 「借りた人のお客さん」
という構図になるわけです。
例えば飲食店などであれば、
- わかりやすい場所であるか
- 大通りから目立つ場所か
- おしゃれな雰囲気か
- それなりの広さがあって、座席数なども確保できるか
というようなところが契約の決め手となります。
もちろん店舗だけでなく、事業所として契約する場合もあると思いますが
この場合、「お客様が直接店舗に来る商売」でなかったとしても、やはりそこに従業員がいたりすると
従業員にとって良い環境なのかどうか、という視点が必要になりますから第三の登場人物が出てくることに変わりはありません。
こうなってくると物件を見る目が全く変わってくることがわかるでしょう。
住居としては良い条件の物件も、テナントとしての条件で言うとあまり良いとは言えない、という物件が存在するわけですね。
もちろん逆も然りです。
だからこそ、テナント付き賃貸物件を投資対象とするためには
一般的な住居として貸し出す賃貸物件を持つのとは違う視点が必要になってくるのです。
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住居を借りる人とテナントを借りる人は全然違う!
住居を借りる人とテナントを借りる人では、目的が異なりますから
オーナーに対する態度も大きく異なってきます。
住居として賃貸契約を結ぶ入居者は、「あくまでこの部屋は大家さんから借りているもの」という意識があるものですが
テナントとして賃貸契約を結ぶ人は「自分のお店」という意識がとても強いんですね。
しかも住居としてお部屋を借りる場合と違って、
商売をするためにテナント契約をする人は、「ここで儲けを出さなくてはいけない」という意識があります。
売り上げが良ければ関係も良好に保っていくことができる場合が多いですが
売り上げが芳しくないテナントさんの場合はやはり関係が悪くなってしまうことも少なくありません。
住居として契約する場合は「家としてどうか」という判断基準になりますし、
あまり良くないと思ったら引っ越しをすればいいだけです。
しかしテナントの場合はそこに事業がかかっていますし、
簡単に引っ越しをすることはできません。
飲食店などであればかなり市場はシビアです。
店舗の場合は決まってからも内装や外装などの工事が入ってくることもありますから
トラブルも必然的に多くなります。
そう考えると、やはりテナント付き賃貸物件というのはトラブルが多くなってしまうリスクあるのは否めないでしょう。
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テナントとの契約を決める難しさ
また、テナントの賃貸契約は決めるのが難しい、というリスクもあります。
一般的な住居に比べるとテナントの家賃はかなり高めに設定して募集するものなので
確かに決まってしまえば大きな収入源の一つになるのですが、
逆を言えば、退去してしまった時に痛手にもなってしまいます。
月に入ってくるお金が安定しないのはどうしてもオーナーとしてはリスクになってしまいますよね。
また、テナントというのは住居に比べると空室を埋めるのがとても難しいです。
よほど良い条件の物件でないと、すぐに決まるものでもありません。
事業がうまくいっていないテナントの場合は
家賃滞納リスクもあります。
関連記事:オーナーチェンジの際に家賃値上げはできるのか?その方法とは?
こう考えるとやはりテナント付き物件というのは難しいものだな、と感じますね。
トラブルも増えてしまうリスクは少なからずあるでしょう。
ですが、逆を言えば
視点を変えて取り組まなくてはいけない分、面白いと感じられる物件でもあると思います。
自分が事業をやったことがあったり、そういった店舗での事業に興味があるのであれば勉強になる部分もあるかもしれません。