入居が決まらず空室が続くとオーナーはどうしても焦ってしまうものですが、そういう時に管理会社の担当者からはすぐ「この家賃ではちょっと決まらないので、もう少し家賃を下げた方が良いと思います」と言われるものです。
管理会社の方がそういうならそうなのか…と、言われるがままに家賃を下げるオーナーも多いのですが、それはちょっと待っていただきたい。
家賃を下げるということは利回りが変わってくるということです。
その利回りで収益を計算し直していますか?
簡単に家賃を下げるということをしないで欲しいんですよね。
今回は家賃を下げる前にできる空室対策についてまとめてみました。
家賃を安易に下げてはいけない理由
例えば空室対策として何か新しい設備をつける、というやり方があります。
このやり方であれば、その設備に対して払うお金は一回きりですみます。
もちろんその設備を購入するために使った費用は経費として計上することができます。
しかし単純に家賃を下げるとなるとどうでしょう。
毎月の収入が減るということは、半永久的に入ってくるはずだったお金が入って来なくなるということです。
設備投資が3万円と家賃を5000円下げる、というのを比べてみると、家賃を5000円下げると6ヶ月で3万円に達してしまいます。
5000円下げた家賃で入居が決まって1年住んでもらったら、実質6万円マイナスという計算になるわけです。
もちろんそのマイナスの6万円は経費として計上することはできません。
家賃を下げるということがなぜ恐ろしいことなのか、わかっていただけたでしょうか?
空室対策として家賃を下げる、というのは最終手段にしなくてはいけないのです。
それまでにできる限りのことをやりましょう。
関連記事:家賃相場の調べ方は?賃料はどうやって決めたらいい?
まずは設備を見直そう
ということでまずは設備を見直すところから始めてみましょう。
全国賃貸住宅新聞に掲載されていた2020人気設備ランキングを見てみると、以下のような結果となっています。
単身者向け物件
- インターネット無料
- エントランスのオートロック
- 宅配ボックス
- 浴室換気乾燥機
- ホームセキュリティ
- 独立洗面台
- 24時間利用可能ゴミ置き場
- システムキッチン
- TVモニター付きインターフォン
- エレベータ
ファミリー向け物件
- インターネット無料
- 宅配ボックス
- エントランスのオートロック
- 追い焚き機能
- システムキッチン
- ホームセキュリティ
- 浴室換気乾燥機
- 防犯カメラ
- ウォークインクローゼット
- 24時間利用可能ゴミ置き場
単身者向け、ファミリー向けのどちらでも、1位はインターネット無料となっていました。
しかしインターネット無料というのは、オーナーが毎月インターネット回線代を支払う必要があります。
これは家賃を下げるのと同じで、毎月の支出になってしまうので、少し優先度は下げた方が良いのかなと個人的には思います。
他の設備についてまず検討してみましょう。
コロナの影響なのか、宅配ボックスは需要が高まっています。
これは比較的安価で購入することができますので、導入を検討してみて良いかと思います。
あとはTVモニター付きインターフォンも比較的すぐに設置することができますね。
この辺りの設備を見直すところからまずは始めてみると良いのではないでしょうか。
競合物件の設備などを調べてみて、比較してみることも大切です。
さらに、実際の賃貸ポータルサイトで諸条件を入れた時に、自分の物件がきちんと表示されるかどうか、ということをも確認しておきましょう。
関連記事:空室対策のための設備、ウォシュレットの取り付けについて
入居者対象者を広げる
例えば空室対策としてペット相談可の物件にしてみる。
外国人や生活保護受給者の方も受け入れをしてみる、など。
入居対象者を広げるというのも一つの手です。
そういったことをすることによってトラブルが増える可能性もなきにしもあらずですが、
たとえばペット可の物件にするのであれば、原状回復について特約をつけてみたり、外国人や生活保護受給者の方の場合は保証会社をしっかり通す、など出来る対策もあります。
それらの対策を行なった上で受け入れていれば、大きなトラブルになることはあまりないでしょう。
管理会社との相談も必要ですが、可能性を広げる選択肢の一つとして検討してみてください。
管理会社の見直し
管理会社の方がどうも入居付けに対してあまり力を入れてくれないな…と思うのであれば、まずは広告料をあげるということを考えてみても良いかもしれません。
さすがに3ヶ月分は多すぎると思いますが、1ヶ月分のところを2ヶ月分にする、くらいであれば試してみる価値はあると思います。
相性が悪いなと思う管理会社なのであれば、管理会社そのものを変えるというのも一つの手でしょう。
これはなかなか労力も要るので大変ではありますが、それでも家賃を下げるというのはそれくらい安易にやってはいけないことなので、管理会社を変更するのと同じくらいの重要度と思って取り組んだ方が良いと思います。
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