売買知識

地面師とは簡単に言うとどんなもの?モデルになった積水ハウス事件とは?

Netflixで配信された「地面師たち」というドラマがかなり話題になりましたね。

2024年7月からNetflixで配信されたドラマ「地面師たち」

地面師たち

100億円の市場価値を持つ希少な土地に目をつけた地面師詐欺集団は、あらゆる手段を使って前代未聞の巨額詐欺を成功させようとするが…。

出演: 綾野剛、豊川悦司、北村一輝

この「地面師たち」でモデルとなっているのは、住宅大手の積水ハウスが、東京都品川区西五反田の老舗旅館「海喜館(うみきかん)」の土地取引をめぐって地面師グループに騙され、約55億円もの代金を支払ってしまった事件です。

実際にそういう事件が起きていたんですね。

原作は集英社から出版されている新庄耕の『地面師たち』

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不動産に関わっている方達は、「地面師」という言葉が気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回はこの「地面師」について、解説してみたいと思います。

地面師とは

地面師とは、他人の持っている不動産をあたかも自分が持っている不動産かのように装って、その不動産を売却し、

買主から金銭を騙し取るという手口で詐欺を行う人のことを指します。

この詐欺は単独で行われるものではなく、

集団で不動産取引に関する様々な役割を分担し、詐欺を実行します。

中には弁護士や司法書士などの肩書きを持つ人が加担することもあり、詐欺だと見抜くのが難しいと言われています。

実は地面師グループには、

  • リーダー格…リーダーとして計画を立て、人を集めて詐欺を実行していく人
  • 書類屋(道具屋)…免許証など偽造書類を作成
  • 手配師…なりすまし役などをスカウトする
  • なりすまし役…土地所有者になりすます。借金がある人や役者を職業にしている人が務めることも。
  • アプローチ屋…ディベロッパーや不動産会社などと交渉を行う

などといった役割があるのです。

多くの人が一緒にグループとなって詐欺行為を行うため、信じてしまう人がいるのも理解できます。

さらに、報道されているような被害はごく一部なのではないかと言われています。

というのも、不動産業界で地面師に騙されてしまった不動産業者やディベロッパーとなれば、信用が落ちてしまいます。

数千万円程度の被害であれば、表に出さない方が良い、と考える業者もいるでしょう。

表に出ているよりも、実際には被害にあっている不動産業者は多いのだと思います。

本人確認書類は書類屋によって偽造されるそうですが、

例えば印鑑証明などは、「印鑑を失くした」などと言って役所で本物を取得したりして、なるべく本物で揃えてきて詐欺を行ったりするそうです。

古い不動産だったりすると、色々な書類が無いこともありますし、これまた見破るのが難しいですよね。

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実際にあった積水ハウスの事件はどんな内容だった?

では、「地面師たち」のモデルにもなったとされる2017年の積水ハウスが騙されてしまった事件はどのような時k年だったのでしょうか?

対象となった不動産は、JR五反田駅から徒歩3分の場所にあった、広さ600坪ほどもある元旅館の「海喜館」です。

大規模開発が可能な都内の一等地でしたが、所有者が病気療養中だったのと、元旅館だったために誰も住んでいなかったのもあって、地面師等に狙われたのでしょう。

この事件では、所有者の女性になりすます形で地面師グループの詐欺が行われました。

使われた本人確認書類は偽造パスポートだったそうです。

売買取引が終わった後に、積水ハウスが所有権登記をしようとしたところ、

書類が偽物であることが発覚し、結果的に積水ハウスは約55億円を騙し取られることになりました。

主犯格の男性は逮捕され、実行判決がおりていますが、積水ハウスが支払ったお金は戻っていません。

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アパホテル事件も

実は2013年にアパホテルも地面師の被害にあっています。

この時は赤坂にある約120坪の駐車場の売買でした。

都心の一等地であり、

駐車場であるために人が住んでおらず、所有者は亡くなっていた不動産だったそうです。

これが地面師に狙われてしまった理由ですね。

この詐欺では、亡くなった所有者の相続人である息子兄弟になりすましたそうです。

本人確認書類に使われた住民基本台帳カードや契約に必要な書類が偽造されており、

積水ハウスの事件と同じく、不動産を購入したアパホテルが登記申請をしたところ、申請書類が偽造であることが理由で申請を却下され、これにより事件が発覚しました。

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地面師の手口

大手不動産会社や不動産関連の専門部署を設ける企業までも騙されてしまう地面師による詐欺。

大まかな手口としては

  • 不動産の所有者や相続人になりすます
  • 本人確認書類や売買取引に必要な書類を偽造
  • 所有者の代理人として交渉
  • 司法書士や弁護士など地面師グループにも専門家が入っている

というものが挙げられます。

売買取引が終わってから所有権移転登記をするのは当日中であることが多いですが、

その間に音信不通となってしまうそうで、偽造書類を素人が見分けるのは難しいですし、専門家も相手方にいるとなるとなかなか見分けるのが難しい詐欺であることがよくわかります。

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