不動産管理

地震でアパートが倒壊したらどうなる?

地震大国である日本。

  • 1995年:阪神淡路大震災
  • 2000年:鳥取県西武地震
  • 2008年:岩手宮城内陸地震
  • 2011年:東日本大震災
  • 2016年:熊本地震

意外と日本でも大きな地震が起こっているのです。

近年では地震が少ないとされていた地域でも大規模な地震が起きたりしており、

収益物件に投資を行なっているオーナーさんは「地震でアパートが倒壊したらどうしよう」という不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

 

いざという時のために、正確な知識を持っておくことは大切です。

 

アパートの耐震基準について

 

まずはアパートの耐震基準について簡単におさらいしていきましょう。

 

耐震基準は1981年6月1日より新しいものへと改正されており、

この日付以降に建築された建物の場合は新耐震基準で作られています。ちなみに保険料なんかも、新耐震基準以前と以後では違ったりします。

 

新耐震基準で建築された建物は、「震度6強に達する程度の地震で倒壊・崩壊しない」ように作られているので

大きな地震によって、倒壊してしまう、ということは可能性として低いと考えて良いでしょう。

 

しかし、1981年6月1日より前に建築されている建造物に関しては旧耐震基準で建てられている建物になるので

新耐震基準よりも最低ラインの基準が低くなっています。

 

ただ、ヴィンテージマンションなどの、比較的工事費用がしっかりかけられている建物なのであれば、

旧耐震基準で建てられた建物でも新耐震基準を満たしている、という場合もあります。

  • 広尾ガーデンヒルズ(1983年築)
  • 元麻布ヒルズフォレストタワー(2002年)
  • 秀和代官山レジデンス(1972年)

あたりは有名なヴィンテージマンションですね。新耐震基準以前に建てられたのは「秀和レジデンス」ですね。

まずはアパートの耐震診断をしてみると良いでしょう。

関連記事:ヴィンテージマンションは耐震が弱い?気をつけるべきポイント。

 

賃貸借契約はどうなる?

 

もし地震でアパートが倒壊してしまい、

もうそのアパートに人が住めるような状態でなくなってしまったら、アパートが倒壊した時点で入居者に提供することができる住戸を失ってしまっているので

賃貸借契約はそこで終了します。

 

これは賃貸借契約書にも「地震などの自然災害によって建物が倒壊した場合は、賃貸借契約を終了する」という旨が明記されているはずです。

 

また、倒壊しなかったとしても、建て替えが必要なほどに大きな損壊があった場合は

倒壊と同じような扱いになるケースが多いです。

関連記事:古いアパートは地震が不安!耐震チェックのポイントを紹介します

 

オーナーの損害賠償責任

 

地震でアパートが倒壊した際のオーナーの損害賠償責任について、気になる方も多いと思いますが、

基本的に倒壊してしまった場合は賃貸契約自体も終了しますし、

自然災害による契約終了なので、オーナーが損害賠償責任を問われることはありません。

 

ただ、これは建物が通常備えるべき安全性をきちんと有していた場合に限ります。

 

自然災害に限ったことではありませんが、

建物など土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって、入居者や他人に損害を与えた場合、

損害賠償を請求されてしまう場合があります。

 

物件を賃貸として貸し出す場合は、オーナーは「入居者の安全を確保する」という責任が前提としてあります。

 

災害対策のための設備点検を怠っていたりなど、

オーナー側に過失があったため、地震で倒壊したアパートによる損害の賠償責任を負うことになってしまうケースもなくはありません。

 

安全性をきちんと有した建物であれば、

倒壊してしまった場合や、それによって入居者が亡くなってしまった、といった場合でも、損害賠償を求められることはありません。

 

また、物件が倒壊まで行かず、ヒビが入ってしまうなどの損害があった場合は、

入居者が安全に暮らせるために、たとえ原因が自然災害だったとしても、オーナーには修繕の義務が発生します。

関連記事:水漏れがあった際、保険は使える?見舞金は出る?

 

仮住まい費用請求

 

物件が完全に倒壊してしまい、

賃貸契約自体もその時点で終了、ということになるとします。

 

そういった時に、入居者は突然住む家を失うことになるので、次の住処が見つかるまでの間、

仮住まいをしなくてはいけなくなります。

 

その間のホテル代など、仮住まい費用の請求を求められる場合がありますが、

倒壊した建物に安全性の瑕疵がないのであれば、オーナーがそこまで負担する必要はありません。

 

また倒壊まで行かず、修繕をする、という場合は

一時的に入居者に退去してもらわなくてはいけない場合もあるでしょう。

 

これは民法606条2項にもある通り、

家主が建物の保存に必要な修繕などの行為をしようとするときは、入居者はこれを拒むことはできません。

 

その間は貸すことができる建物がないので、賃料を請求することはもちろんできません。

 

ですがこういった事象は、オーナーの責任ではなく、自然災害で起こるものなので

仮住まい費用をオーナーが補償する必要はありません。

関連記事:消防設備点検はアパートなら必須!どういうものなの?

 

ローンについて

 

自然災害によって建物に損害があった場合でも、

ローン契約には影響がでないので、債務義務は残ってしまいます。

 

ただ、東日本大震災の時なんかは住宅金融支援機構や民間の金融機関が、ローンの条件の変更などの特別措置を行ないました。

また、災害復興住宅融資という形で、被災した人向けのローンも出ましたよね。

 

ローンについてどうなるか知りたい場合は

自身が利用している金融機関に直接問い合わせて確認してみましょう。

関連記事:ローン中の家を売ることはできるの?

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