不動産管理

生活保護を受給している住人が死亡した場合のアパート退去費用について

生活保護を受給している人が入居したいと言っている時、

それを受け入れるかどうかを悩むオーナーは多いでしょう。

 

生活保護を受給している人が入居し、契約途中で死亡してしまった場合

退去費用はどうなるのでしょうか?役所が払ってくれる?

 

今回は生活保護受給者の入居リスクについて解説していきたいと思います。

 

生活保護受給者が死亡した時、費用負担するのは?

 

生活保護受給者が死亡してしまった場合、

誰が退去費用などを負担するのでしょうか?

 

①連帯保証人

 

賃貸住宅の場合、生活保護受給者に支払い能力がなくなった時に

その支払いをしなくてはいけないのは連帯保証人になります。

 

大体の場合、連帯保証人は入居者の親や兄弟姉妹となるでしょう。

連帯保証人は入居者の管理者という扱いになります。

支払い能力が入居者になくなってしまった時に、その請求を一番にされるのは連帯保証人となります。

 

しかし生活保護を受けている方は「家族からも支援が受けられない」ということが前提となっています。

なので生活保護受給者の親や兄弟姉妹も生活保護を受けていたり、お金に余裕のない生活を送っている可能性が高いので

連帯保証人でも退去費用を払うことができない、というケースもあります。

 

②法定相続人

 

連帯保証人に支払い能力がない場合、その請求の矛先は次に法定相続人へと向けられます。

 

法定相続人は当人が亡くなった瞬間からその人の財産がプラスであってもマイナスであっても相続することになります。

よって、マイナス分となる退去費用なども法定相続人が相続し、支払わなくてはいけない義務が発生するんですね。

 

しかし生活保護受給者の場合、この法定相続人にも支払い能力がなかったり

そもそも相続人がいない、というケースもあります。

 

③部屋の所有者であるオーナー

 

連帯保証人、法定相続人に支払いをしてもらえない場合は

部屋の所有者であるオーナーが退去費用を工面するしかありません。

 

支払いの義務はありませんが、次の入居者を決めるためにもお部屋の清掃や遺品整理などを自腹でおこなうしかありません。

役所なども退去費用は負担してくれません。

 

孤独死の清掃の場合は数万円から50万円以上かかってくることもあります。

孤独死してしまってから発見までにどれくらい時間が経ってしまっているかによって金額が大きく変わってきます。

 

決して安い金額ではありませんので、これを負担することになってしまわないように注意したいですね。

関連記事:賃貸物件で病死した場合、事故物件になる?何をしたらいい?

 

生活保護受給者は孤独死しやすい

 

生活保護を受けている方は何かしらの原因があって生活保護を受けています。

家族との関係が薄かったり、お家からなかなか外出しないという人も多いんですよね。

 

そうなってくると孤独死するリスクが高くなってしまいます。

 

もし生活保護受給者が入居するようなことがあるなら、

定期的に電話などで連絡をしてみたり、近くに住んでいるなら定期的に挨拶をするなど

オーナー側で気をつけることもできるでしょう。

 

そういった付き合いがあることを喜んでくれる入居者もいるでしょう。

 

孤独死が起きてしまった場合の清掃・退去費用は

「孤独死が起きてから発見するまでにどれくらい時間がかかったか」によって大きく金額が変わってくるので

変化にすぐ気づけるかどうかが肝心になってきます。

 

生活保護課でも生活保護受給者の訪問などの確認は行っているのですが

頻度としては年に2回程度らしいので、これを頼りにしていたらやはり孤独死の発見は遅れてしまうでしょう。

 

もはや高齢者の孤独死は社会現象になりつつありますし

これからはもっと孤独死が増えていく時代になると思われます。

 

普段から他の入居者よりも少し注意して気にかけてあげる余裕があれば

生活保護受給者でも入居してもらってもいいかもしれませんね。

関連記事:アパートで孤独死が起きてしまった時大家はどうすればいい?

 

生活保護受給者が入居するメリット

 

生活保護受給者が入居するにあたって考えられるリスクについてお話してきましたが

生活保護受給者に入居してもらうメリットもあります。

 

それは家賃滞納リスクが低い、ということです。

 

生活保護受給者なのだから家賃も滞納されるリスクがあるんじゃないか?と考えるオーナーは多いと思いますが

生活保護受給者は生活に必要な扶助として

  • 生活扶助
  • 教育扶助
  • 住宅扶助
  • 医療扶助
  • 介護扶助
  • 出産扶助
  • 生業扶助
  • 葬祭扶助

といった8種類の扶助を受けています。

 

この扶助の中の住宅扶助が家賃に当てられます

生活保護課から生活保護受給者に振り込まれて、それを家賃として振り込むので滞納リスクが低くなるんですね。

 

さらに、住宅扶助代理納付制度といって、生活保護課から直接オーナーに家賃を振り込んでもらうようにお願いすることもできます。

 

もちろんこれによって孤独死の発見が遅れることもありますが、

住宅扶助として振り込まれたお金を生活保護受給者が別のことに使ってしまうリスクも回避できるので

実は生活保護受給者の入居はデメリットばかり、というわけでもないのです。

関連記事:事故物件のクリーニングはどんなことをやる?費用はいくらくらい?

不動産管理に関するおすすめ記事
こんな記事も人気です