今回は収益物件において法人で契約をしたいという入居希望者が現れた時に、オーナーがどのようなことを考えればよいのかということについて解説していきたいと思います。
個人の契約に比べると法人契約の方が安心感があると思うオーナーも多いと思います。
しかし法人契約にもデメリットは存在するものです。
しっかりとリスクを把握した上で契約を進めていくようにしましょう。
法人契約をする入居者はどんな人?
法人として賃貸物件の契約をしたいというのは、法人が社宅や社員寮として物件を借り上げたいというケースが多いです。
この場合複数この物件を契約したいということも多く、入居者個人との契約ではなく会社と法人契約を結ぶような形になります。
一棟丸ごと借りて社宅や社員寮として利用するケースもありますし、単身赴任用の部屋として、複数戸お部屋を借りるケースもあります。
個人契約とは違って法人契約の場合は会社謄本や会社印鑑証明書、会社案内などを提出してもらうような形が多いです。
連帯保証人としては入居者かもしくは法人の代表取締役がなるケースが多く、大企業であれば入居者、中小企業の場合は代表取締役が連帯保証人になることが多いですね。
社宅として借り上げる場合は会社が入居者に家賃を全額もしくは一部負担するような形で提供しています。
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法人契約のメリット
家賃滞納リスクが低い
個人契約の一番のメリットは安定した事業を展開している会社であれば家賃滞納リスクが低いということです。
会社が倒産した場合も破産管財人というものが付くので家賃が未納のまま逃げられてしまうということはなかなかありません。
長期契約になることが多い
社宅や社員寮として借り上げる場合は長期間、複数戸借り上げてくれる可能性が高いです。
会社から家賃補助がでるような形になり、入居者が会社で勤めている間は入居していてくれるので長期契約になりやすいということです。
例えばその入居者が退職するとともに退去となった場合も、社宅として使っている場合は同じ会社の別の入居者が入居してくれることもあるでしょう。
審査が通りやすい
法人契約の場合は会社情報調査して審査がされるので、個人契約に比べると資料が明確で審査が早く通ることが多いです。
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法人契約のデメリット
一斉解約の可能性がある
会社が倒産してしまったり社宅制度をやめる場合一斉解約の可能性があります。
戸数が少なければ良いですが、一棟まるごと借り上げのような状態だった場合は、急に家賃収入がゼロになってしまうこともあります。
集客にあんまり困らない立地の物件なら良いですが、なるべくリスク分散しておいた方が良いでしょう。
これが法人契約の一番のデメリットだと思います。
家賃引き下げ交渉をされることがある
法人が社宅や社員寮として契約をする場合はその法人の福利厚生として社員に提供されるものになるので、なるべく安くて良い部屋を探そうと法人側も努力します。
そのため細かいところで交渉が入ることも多く、特に家賃の価格交渉は多いです。
どこまで譲歩するかということはある程度決めておいた方が良いでしょう。
申込までに時間がかかることがある
審査のスピードは早いのですが大企業になればなるほど申し込みまでに時間がかかります。
書類のやりとりなどが人事や総務などを通して行われるためどうしてもスピード感が個人に比べると遅くなってしまうということです。
保証会社加入の拒否
法人契約の場合は保証会社に加入するのを拒否する法人もあります。
その場合は入居者個人もしくは法人の代表取締役に連帯保証人になってもらうことで契約を勧める場合もありますが、保証会社を通さないで契約を勧めるというのはそれなりにリスクになりますので注意が必要です。
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法人契約の場合の注意点と対応
入居者は把握しておくこと
できれば入居者の住民票は必ずもらうようにして、法人契約であっても入居者は特定し把握しておくようにしましょう。
立ち退き訴訟などが発生した時に入居者の特定が難しくなるからです。
入居者が退職した場合の対処
入居者が退職して退去する場合どのような対処をするかということも決めておいた方が良いです。
退職後も継続して入居する場合家賃の未払いなどのリスクが発生する可能性があるので、退職時は貸借人から契約を解除することができるなどの文言を契約条件に加えているオーナーもいます。
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法人契約はおすすめか?
個人で契約してもらうのに比べて法人契約は長く、安定して契約してもらえる可能性があるのでどちらかといえばおすすめの部類だと思います。
しかし一棟まるごと借り上げのような形になるとリスクが大きいので戸数はある程度制限した方が良いのではないかと思います。
また会社がしっかりした信頼できる法人であるかどうかということも確認しておきましょう。
中には会社で契約しているのに、実際の入居者は社員でもなんでもなく、代表取締役の愛人が住んでいたなんてケースもあります。
直感的に怪しいなと感じる法人の場合は契約を断るのも一つの手だと思います。
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