賃貸トラブルの中でもよく問題にあがりがちなのがエアコンの扱いについてです。
特に入居者が退去する時にエアコンクリーニングを原状回復費用として請求するかどうかについては、よくトラブルになりますが、原状回復の内容の意味と、エアコンがどういう扱いになっているのかということを理解しておくことで、トラブルを回避することができます。
今回は賃貸物件におけるエアコンクリーニングの費用負担について、オーナーの目線で解説していきたいと思います。
原状回復の賃貸契約上での扱い
まず賃貸契約において原状回復費用がどのように扱われるのかということを理解しておきましょう。
一般的には賃貸物件の場合退去する時に入居者が入居時と同じ状態まで原状回復をした上で退去する義務があるとされています。
原状回復のために発生した費用は入居者に入居者が預けている敷金を使って賄います。
そして敷金と原状回復費用を差し引きし、その差額分を入居者に敷金返金分として返金する、というのが一般的な流れでしょう。
その際、原状回復費用としてどれにいくらお金がかかったのかという内訳を入居者に提示することになります。
その中にエアコンクリーニング代が含まれていて入居者からクレームが出るという話がよくあるわけです。
敷金の扱いについては物件によっても変わっていて、最近は敷金をなしにしている物件や、原状回復費用が敷金より出てしまった場合請求をしない代わりに敷金昌楽部も返金しない、という契約にしている物件もあります。
トラブル回避のために契約内容を一般的なものとを変えることもできますので、エアコンに関する特例などを付けるのも良いでしょう。
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エアコンクリーニングはオーナー負担のことが多い
エアコンのクリーニングについてはオーナーの負担になることが多いです。
というのもエアコンは設備の一環なので、通常の生活の中で汚れてしまったりした場合(通常損耗)は入居者でお手入れをしてもらうべき(善管注意義務)なのですが、クリーニングとなってくると入居者には請求できないとみなされることが多いです。
例えば生活している中でエアコンの臭いや汚れが気になるからクリーニングをしたい、という要望が入居者にあった場合、入居中であれば入居者の負担となるでしょう。
しかし現状回復において、通常の使用範囲内で着くような汚れや摩耗といったものは入居者が負担する義務はないとされています。
入居者負担になる場合
エアコンクリーニングが入居者負担となるのは以下のような場合です。
- 入居者が室内でタバコを吸っていた
- 契約時にハウスクリーニング代が請求されるという特約が記載されていた
- 入居者が通常の生活の中で一切エアコンの掃除をしていなかった
エアコンの内部に脂が付着していると通常のエアコンクリーニングではエアコンをクリーニングしきることができないので特別な費用がかかってしまいます。
そのためタバコを室内で吸っている場合は別途クリーニング代が請求されるということが契約書に書かれている場合が多いです。
もしくは室内でタバコを吸わないという契約になっていることもあります。
エアコンクリーニングの費用相場
エアコンクリーニングの費用相場はエアコンのタイプによって異なってくることが多いです。
エアコンのタイプ別にエアコンクリーニングの費用相場を以下にまとめました。
エアコンのタイプ | 料金 |
壁掛けタイプ | 10,000円〜 |
自動掃除機能付き壁掛けタイプ | 14,000円~20,000円 |
一般家庭用天井埋め込みタイプ | 25,000円~30,000円 |
業務用天井埋め込みタイプ | 30,000円~35,000円 |
退去が複数重なった場合は、複数台のクリーニングで割引になるような業者もありますので、そういった業者にお願いすると費用を抑えることができます。
また繁忙期になると料金が高くなる業者もありますので、できるだけ繁忙期は外した方が良いです。
とはいっても、エアコンクリーニングを優先して入居募集も遅くなってしまい繁忙期を逃したら本末転倒ですので、「繁忙期は少し高くなる場合がある」というのを頭の片隅に置いておく程度で良いと思います。
設備か、残置物かによっても違う
エアコンの扱いが設備なのか、残置物なのか、によっても対応が変わるときがあります。
設備というのはオーナーの所有物であり、お家の設備の一環として入居者に貸し出しているものになりますので、生活の中で必要になってくるお手入れは入居者負担ですが、故障や取り替えとなったときの負担はオーナーになります。通常はこのタイプになっていることが多いでしょう。
しかし残置物の場合は、前の入居者が残していったもの、という意味合いになります。入居とともに現入居者に所有権がうつります。そのため残置物の場合は原則、入居者負担での撤去となるのが一般的です。
とはいえトラブルのもとになりやすい部分ではあるので、ここらへんは特約をつけるなどして、きちんと契約時に確認しておきたい部分ですね。
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