不動産管理

原状回復におけるクロスの張替えについて、オーナーが知っておきたいこと

入居者の退去があった時に多くの場合クロスの張り替えが必要になると思います。

 

お部屋をきれいに使ってくれる入居者だったり、1〜2年程度で退去してしまう人の場合はクロスの張替えが必要にならないこともありますが、どうしても傷みやすい部分ではあるのでほとんどの場合は退去があった際、クロスの張替えをするオーナーが多いでしょう。

今回は原状回復におけるクロスの張替えについて、解説をしていきたいと思います。

 

原状回復の考え方とクロスの扱い

 

国土交通省に寄せられる賃貸住宅におけるトラブルで一番相談が多いものが「退去時の敷金の精算について」なんだそうです。

揉めやすい部分でもありますのでオーダーにもしっかりと理解が求められる所でしょう。

原状回復でトラブルになるのはやはり入居者とオーナー、どちらが費用を負担するのかというところです。

基本的な考え方は賃貸住宅トラブル防止ガイドラインについての記載を見る必要があります。

それを参考にすると基本的に賃貸住宅の契約においては、経年劣化や通常損耗の修繕費は家賃に含まれているとされており、オーナーが費用を負担するのが原則となっています。

 

つまり普通に生活をしていて汚れてしまったり傷がついてしまったりするような部分に関しては改めて入居者が費用負担をする必要はないということですね。

それに対して借主の故意過失によって生じてしまった損耗に関しては、入居者が負担するべきであるという旨が書かれています。

 

では入居者の負担となる場合はクロスの張り替えにおいてはどのようなケースなのでしょうか。

以下のようなケースの場合は、入居者の負担になると考えられます。

  • タバコを吸っていることによってクロスが変色してしまっている
  • もので擦ったような跡がついている
  • 引っ越し作業などで生じた引っ掻き傷がある
  • 結露などを放置したことによってカビが生じている
  • 落書きがしてある
  • ペットを飼っていることによって引っ掻き傷などがある

入居者には善管注意義務と言って、通常の生活の中で発生する汚れなどに対し定期的な掃除やメンテナンスを行う義務が課せられています。

簡単に言うと常識の範囲内でお部屋を掃除しながら使ってね、ということです。

それらを怠ってしまったせいで生じる損耗に関しては修繕費用を負担する必要があります。

上記に挙げた中で言うと「結露の放置」などが該当します。

 

他にもゴミを置きっぱなしにしていただとか、長らく換気をしなかった、といったケースも考えることができます。

どのような理由で修繕が必要になったか、という部分でオーナーと入居者、どちらが負担をするのかというところが変わってきます。

関連記事:オーナー側のアパートの原状回復費用、何にどれくらいかかる?

 

耐用年数は6年だから6年以上住んだら残存価値は1円?

 

インターネットでクロスの張替えについて調べていると、クロスの耐用年数は6年だから6年以上住んだらクロスの価値が1円になるため、クロスの張り替えに必要になってくる修繕費用は払わなくて良い、というような暴論を見かけます。

しかし耐用年数はここではあまり関係ありません。

耐用年数を過ぎても使われているものというのもたくさんあるからです。

 

例えば古くなって価値の無くなったキッチンなども耐用年数が来たからといって毎回変えるものではありませんよね。

つまり耐用年数が来て価値がないからといってすべてのものを変える必要はないので、それよりも上記で説明したように、どうして修繕が必要になったかその理由の方が大切なのです。

クロスも耐用年数を過ぎたところで綺麗に使われているのであれば張替えをしなくて済むこともあるわけですからね。

6年以上住んでいるからクロスに価値が無くなっているのでどんな傷をつけてもいいという話にはなりません。

関連記事:空室活用方法!空いているお部屋も賢く収益化しよう

 

クロス張替えの費用

 

クロスの張り替え費用ですが平米単価で計算することが多く、大体1平米あたり1000円前後です。

特殊なクロスにしない限りはこの値段が大きく変わることはありません。

 

ただクロスはすべてがつながっているため、張替えとなると一面すべてを張り替えるような形になることが多く、一箇所キズがついていたり、剥がれているからそこだけ修繕するということはなかなかできないです。

これを理解してくれていない入居者は多く、「どうして一箇所だけなのに全面を張り替える必要があるんだ」というクレームにも繋がりやすいようです。

関連記事:ワンルームマンションのリノベーション事例!実際にやった内容公開します

 

おしゃれなアクセントクロスも試す価値あり!

 

一面だけ色の違うアクセントを入れるアクセントクロスをすることでお部屋の印象が一気に変わってきます。

周囲の物件との差別化を図りたい時などはこういった手法を使ってみるのも良いでしょう。

 

クロスの色を悩んだり、どの壁をアクセントクロスにするか、など考えていると結構楽しいものです。

色が付いているクロスも一般的なクロスとあまり値段が変わらなかったりするので、一度は試してみても良いのではないでしょうか。

関連記事:アクセントクロスの色はどう選べばいい?オーナー目線で事例も紹介!

 

トラブル回避のために

契約書に特約をつける

 

敷金の返金に関するトラブルが多いため、敷金の返金は行わないけれど敷金以上の請求も行わないというような特約を付けている契約書もあります。

こういった特約を使ってトラブルを回避するのも良いでしょう。

退去立会をしてもらう

 

管理会社に管理を委託している場合は退去時に退去立会いをしてもらうようにするのが一番良いです。

入居者にも納得してもらいやすいので、退去時には必ず退去立会いをしてもらうようにしましょう。

関連記事:入居者とのトラブルを防ぐためにオーナーがやるべきこと

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