「不動産投資を行って、家賃収入だけで生きていけたらアーリーリタイアしたい。」というお話しをしている方が不動産投資初心者の方には多いです。
最近はサラリーマンの方が副業で不動産投資をされていることも多いですから、そういった考えを持たれる方も必然的に多くなってくるのでしょう。
もちろん不動産投資の収入だけで生活されていらっしゃる方も現にいますし、そういった目標があることは悪いことではありません。
しかし、不動産投資でリタイア!というのはキャッチーすぎて、どうしてもその実際のところをちゃんと紹介しているものが少ないようにも感じます。
- 「今の仕事をずっと続けていくのは不安」
- 「将来が心配」
という方が増えてきている今、詐欺まがいの不動産投資に誘導するために「不動産投資でリタイア」という言葉が安易に利用されすぎているように思うんですね。
今回は、不動産投資の収益だけで生活をする、ということのリスクについて、実際に不動産投資を10年以上やっている身としてお話ししてみたいと思います。
不動産投資は不労所得ではない
まず一番に強調したいことはこれです。
不動産投資は不労所得、という表現をされがちですが、決して「不労」ではありません。
ただ一般的な会社に勤めて働くよりも
- 時間
- 場所
に関しては自由が多い、というところでしょうか。
特にリタイアできるほどの規模で不動産投資をするのであれば、それなりに所有物件数も多くなるはずです。
時期によっては、会社勤めよりも忙しくなることもあるでしょう。
例えば土日などの休みの概念はありません。
不動産会社は水曜日がお休みのことが多いですが、物件数が増えれば管理をお願いする会社さんも増えますので、お取引先によってお休みが異なる、ということはよくあることです。
そして日々、入居者さんからのクレームが入ったり、修繕が必要な部分が出てきたり、と対応することがあります。
メールや電話はいつでも対応できるようにしていますし、
入居付けを担当してくださっている営業さんからの電話は「今、目の前に入居検討者がいる」というような状況でお電話をいただくことも多く、「その時に電話をとれるかどうか」ということが直接入居率に影響することもあります。
また私の場合は雪が多く降る地域で投資をしていますので、雪の降る季節や、「昨日は大雪だった」みたいな時は複数の物件で対応が必要なことがあり、とんでもなく忙しくなります。
物件を購入する時も、お付き合いのある不動産業者さまからネットに掲載される前の情報をいただいたりしますので、
ご連絡をいただいて次の日には飛行機に乗って物件を見にいく、なんてことも少なくありません。
確かに毎日会社に出社して働くことはありませんが、
レスの速さとフットワークの軽さ、いつでも対応ができる余裕が求められるのが不動産投資です。
そういった働き方がまさにしたいのだ、という方は不動産投資でのリタイアを目指すのも良いでしょうけど、
「働きたくない」が第一にきてしまっている方は、思い描いているようなリタイアを不動産投資によってすることはできません。
関連記事:北海道で不動産投資!どんな特徴がある?
突発的な大規模修繕が発生することがある
不動産投資でリタイアを…と考えている方は、
シンプルに「お給料と同じくらいの月々の収入を家賃収入で得られればリタイアできるはず…」と考えていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
ですが、お給料と同じくらいの月々の収入を得られる程度では危険です。
というのも、規模の大きい物件であればあるほど、突然の大規模修繕が発生する可能性があるのです。
リタイアができるほどの規模の不動産投資であれば、それなりに戸数があるアパートやマンションを所有することになると思いますが、
こういった一棟ものの場合は、屋根や外壁といった大規模修繕で数百万円、みたいなことちょくちょくあります。
足場を組まなくてはいけないような修繕はどうしても高くになってしまうんですよね。
なるべく不動産を購入する時に修繕履歴もチェックして、いつ頃そういった大規模修繕が必要になりそうか、ということも見当をつけておきたいところです。
家賃収入とは別にそういったことを考えなくてはいけませんので、ある程度手元に現金がある、ということも必須条件になります。
関連記事:マンションの大規模修繕ってどんな内容でいくらくらいかかるの?
収入は変動するのに、支出はずっと続く
家賃収入は入居率によって変動するものですが、
金融機関には融資の返済を行わなくてはいけないので、空室が出て家賃収入が減っても、毎月の返済額は変わりません。
それが何年も続きます。
入居率を上げるためにはどうしたらいいのか、ということをずっと考え続けなくてはいけないんですね。
トレンドもありますから、常に情報収集する必要もあります。
やはり手元にある程度現金が必要であることが求められますし、
空室率がずっと高くても、返済をずっとし続けられるという意味では、リタイアしない方が安心なのです。
関連記事:入居募集をする時にオーナーが考えること、やれること
実際のところ不動産投資でリタイアする、ということは結構リスクが高いことである、ということが少しでも伝わったら幸いです。
リタイアを目指すこと自体は悪いことではありませんが、リスクの想定ができないままリタイアするのはとても危険です。
ぜひ参考にしてみてください。