不動産管理

マンションの大規模修繕ってどんな内容でいくらくらいかかるの?

建物はたったその日から年月とともに劣化していくものです。

 

法律で定められた耐用年数を超えてももちろん建物として機能し続けますし、耐用年数超えの建物はたくさんありますが、定期的に点検や修繕を行わなければ、建物が劣化するスピードが速くなっていってしまいます。

 

基本的にはマンションの建物としての寿命は60年以上とされていますので、細かく修正を行っていればかなり長くもつものなのです。

そこで、建物を綺麗に長く維持させるために大切なのが大規模修繕です。

 

具体的に大規模修繕とはどのような内容のものを指し、どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。

 

大規模修繕の周期と費用

 

まず大規模修繕はどれくらいの周期で行わなくてはいけないのかというところから解説したいと思います。

国土交通省が定めているガイドラインでは、マンションにおける最初の大規模修繕は築12年を目安に行うようにとされています。

 

一般的には10年から12年の周期で行うのが普通なのですが、実際のところはどうかと言うと13年から16年ほどの周期で行っているマンションが多いです。

 

もちろんこれはあくまで目安ですので、定期点検時に不具合が見られた場合は早急に大規模修繕を行う必要があります。

 

大規模修繕は建物や設備の劣化状況に応じて回復を図るための修繕や、建物の資産価値の行う改修工事で、

内容については後程詳しく解説しますが主に、コンクリート補修やタイル補修、外壁塗装、鉄部塗装など、マンションの共用部分の劣化に対する補修工事のことを指します。

マンションの規模や戸数などによって変わりますがだいたい2ヶ月から3ヶ月、半年程度かけて修繕工事を行います。

 

費用としては一戸あたり100万円前後が相場で、小学としては1,000万円から3,000万円ほどになります。

 

この大規模修繕工事の調査や計画、事前準備を主体となって行なっていくのが管理組合です。

関連記事:リフォームでぼったくりは多い!修繕費用を適正価格に抑えるコツ

 

大規模修繕は修繕積立金から支払われる

 

マンションの所有者が修繕積立金を月にいくらか積み立てているはずですのでそれを費用として使い、マンションの管理組合が作成した長期修繕計画に基づいて大規模修繕が行われます。

修繕積立金は数千円から1万円前後であることが多いですが、近年は修繕積立金とは別に修繕積立基金というものを設けて、マンション購入時の諸経費として支払ってもらうような形にしているところが多いです。

相場としては30万円から80万円程度で、大規模修繕費の不足部分を補填するような形になっています。

 

区分所有でマンションを購入する場合は修繕積立金や修繕積立基金がいくらかかるのか、滞納がどれぐらいあるのか、積立金がどれぐらい溜まっているのかということもきちんと調べた上で購入を検討するようにしましょう。

 

相場よりも安い値段で売りに出されている区分所有マンションを購入したら、実は修繕積立金が全くたまっていなかったということもあります。

関連記事:中古マンションへの投資で物件選びをする際に見ているポイント

 

大規模修繕の流れ

 

規模修繕の計画は1〜2年前から作成されます。

まずは建物の現場調査を行いそれをもとに修繕工事の箇所や内容を決めます。

複数の施工業者に見積書を出してもらい、比較した上で業者を決定します。

 

工事費用がある程度具体的になってきたら修繕積立金で施工することは可能か、もし不足する場合はどう不足分を調達するのかということを決めて工事へと移っていきます。

関連記事:マンションの管理費を滞納してる場合の売買について

 

大規模修繕の内容

 

大規模修繕の内容としては大きく三つに分かれます。

  • 建物の外装
  • 共有部のリフォーム
  • 付随工事

です。

それぞれどのような内容なのか見ていきましょう。

 

建物の外装

 

建物の外装に含まれるのは

  • 外壁のタイルやコンクリート
  • 外壁との隙間をふさぐシーリング
  • サッシ
  • 屋上

などです。

大規模修繕工事の中でも最も序盤に行われる工事です。

 

外壁補修

 

外壁の汚れや異物を高圧洗浄機で除去して、凹みや傷などを取り除く工事です。

タイルが浮いていたりする場所があるとそのタイルが剥がれて落下し人を傷つけてしまう可能性がありますので放置するのは危険です。

高圧洗浄機で洗浄することによって見た目もきれいになりますので、入居づけの後押しもしてくれるでしょう。

 

外装塗り替え

 

外壁の塗料がはがれていたり、チョーキングと呼ばれる白い粉が付着している場合は塗料を剥がして新しい塗料を塗装する塗り替え工事が行われます。

こちらも見た目がかなり改善される工事です。

 

シーリングの打ち替え

 

古いシーリングを取り除いて新しいシーリング材を充填する工事がシーリング打ち替え工事です。

シーリングが劣化してしまうと雨水が侵入するので、放置することで雨漏りの原因になってしまったりすることがあります。

 

屋上の防水

 

塗装による塗膜防水もしくはシート圧着によるシート防水のいずれかが行われるのが屋上の防水工事です。

 

サッシの改修

 

建物の耐熱性を高めるのがサッシの改修工事です。

ガラスのみを交換する場合とサッシの枠ごと交換する方法があり、共用部のサッシの回収の場合は区分所有者の過半数、または3/4以上の賛成が必要です。

 

共用部のリフォーム

 

共用部に含まれるのは

  • 廊下
  • 階段
  • 駐車場
  • エレベーター
  • 給排水管
  • バルコニーやベランダ

などです。

高層マンションの場合は足場を組む必要がありますので3ヶ月以上の期間がかかる長い工事になる可能性が高いです。

エレベーターは新しいものに取り替えるのにかなり高額な費用が発生しますが約25年をめどに交換しなくてはいけなくなる時がきます。

 

一度行ってしまえばきちんと修繕を行って管理されているイメージを持ってもらえる部分でもあります。

また玄関扉の交換なども建物のイメージが変わりやすい部分です。

 

付随工事

 

付随工事は大規模修繕工事を行う時に必要になってくる工事です。

  • 高所で作業を行うことができるように足場を作る足場設置
  • 施工業者スタッフの事務所として使用する特設ブースを作るための仮設工事

などがあります。

足場を組むとなるとかなり費用がかかってくると考えた方が良いでしょう。

 

これら大規模修繕の知識は区分所有マンションを購入するときも役に立つ知識です。

修繕履歴を見せてもらって履歴から色々な情報を読み取れるようにしておきましょう。

関連記事:マンションオーナーとして最上階に住む、そのメリットとデメリット

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