地方の築古アパートを中心に戸建てや区分マンションにも投資をしています。
投資歴は10年を超えました。
今回は築古アパートの売買が多いと自然と見ることが多くなる契約不適合責任の免責についてです。
瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わった
以前は瑕疵担保責任という名前になっていましたが、法改正があり、名前が契約不適合責任になったのと同時に、少し内容も変わりました。
簡単にまとめると、瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いは以下のようになります。
物件購入時に隠れた瑕疵があり、買主が常識的な確認程度では見つけることが出来なかったものについて、売主に契約解除や損害賠償を請求できる権利
隠れた瑕疵であるかどうかは関係なく、契約内容に合致しない瑕疵がある場合に契約解除や損害賠償を請求できる権利
瑕疵担保責任の時代は、「売主が知らなかった隠れた瑕疵」だったのが重要でした。
ですが、実際には「隠れた瑕疵」つまり、「売主が知らなかった」ということを立証するのが難しいので、
契約不適合責任では「契約内容と違った内容があった」場合には契約解除や損害賠償を請求できるようになっています。
実質的には、売主の責任が増えたような形になっていますね。
買主が売主に請求できる権利は以下の5つです。
- 追完請求…契約に適合するように目的物の修補請求をする
- 代金減額請求…追完請求をし、追完できないことが明らかであれば減額請求ができる
- 催告解除…追完請求に対して対応がない場合、契約を解除することが可能。
- 無催告解除…売主が債務の全てを履行できない場合や履行することを明確に拒否している場合、催告せずに契約解除が可能。
- 損害賠償…契約不適合によって買主に損害が乗じた場合、他請求権と併用して損害賠償を請求することが可能。
契約不適合責任の免責とは
売買後の補償に関して、売主の責任を免除することを契約不適合責任の免責と言います。
売買契約書に特約として免責事項を記載します。
免責特約としては、
- 水漏れ
- シロアリ被害
- 家の傾き
- 基礎の腐食
などが挙げられ、これらが多ければ多いほど、買主側にはデメリットが多くなりますね。
免責特約があると、引き渡し後に瑕疵が見つかっても、売主に権利の請求をすることが難しくなります。
買主にとっては不利な内容になるため、売主・買主、双方の同意がなければ免責特約は有効になりません。
私の場合は築古アパートの売買が多いのですが、やはり築古となると、そもそも経年劣化でかなり建物が傷んでいることが多く、売買時に契約不適合責任を免責とするケースが多いです。
免責をつけて売却することもあれば、免責になっている不動産を購入することもありますね。
古すぎる物件は瑕疵があるところをいちいちリストアップしていられませんし、何かしらあるものです。
ちなみに、不動産に契約不適合があることを売主が知っていながら、契約までに買主に説明しなかった場合は契約不適合免責という特約を設けていても、契約不適合免責が無効になるケースがあります。
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売主が契約不適合責任を免責にしたい理由とは
不動産を初めて買う、というような不動産投資初心者の場合は、契約不適合責任の免責をつけられると、
どうして免責にするんだろう!?何か重大な瑕疵が隠れているんじゃ…
と疑心暗鬼になってしまうことが多いと思います。
ですが、築古物件の売買の際は、契約不適合責任の免責をつけることは比較的珍しいことではありません。
先述した通り、物件の築年数が古ければ古いほど、経年劣化により瑕疵が生じる可能性が高くなります。
そうした全ての瑕疵に対して補修等を行うことは売主にとっては不可能なんですよね。
不動産を売却した後で、
家が傾いています!
雨漏りしているようです!
と、どんどん瑕疵を列挙されてしまい、それに対してずっと修繕費を支払う、なんてことはできません。
だからこそ、契約不適合責任を免責にするのです。
確かに不動産を購入する側からすると、免責事項がたくさんあると不安になると思います。
ですが、こういった物件はそもそもリスクが低いため、売買価格が比較的安く設定されているというメリットもあります。
多少のリスクがあるものの、安く購入できるという魅力がある。
これを天秤にかけた時にどちらをとるか、という話ですね。
私自身契約不適合責任が免責となっている築古アパートの売買を何度も行っていますが、今のところ大きなトラブルにはなっていません。
心配な場合は、内装業者さんに付き添ってもらって内見をする、というのが一番確実で良いかなと思います。
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