不動産投資を行っていると、ある程度の期間保有した物件を売却する時がやってくると思います。
中古物件として売却するわけですが、その時に気になるのが瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)について。
今回は中古物件を売却するときの瑕疵担保責任について、解説していきたいと思います。
瑕疵担保責任とは
瑕疵担保責任とは売主が買主に対してする保証のことで、買主が物件を購入したあとで把握していなかった瑕疵(かし)を見つけた時に、売買契約を取り消すことができる、もしくは損害賠償を請求することができるというものです。
生活の中で買い物をした時に、不良品だった場合、お店に言って返品や交換をしてもらう、ということがあると思います。
それの不動産バージョンだと考えるとわかりやすいでしょう。
不動産の返品というのはなかなかないですから、事前に告知していなかった欠損などがあった場合に、修理代を買主が負担する、といったことが一般的には多い事例になります。
事前に告知しているものに関してはそれを了承した上での売買取引ということになりますから問題ありません。
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瑕疵とは
そもそも瑕疵(かし)というのはどのようなことを指すのでしょうか。
瑕疵にも実は色々な種類があって
- 物理的瑕疵
- 環境的瑕疵
- 心理的瑕疵
というものに分類されます。
物理的瑕疵とは
- 雨漏りがある
- シロアリが発生している
- 地盤沈下している
といった目に見える瑕疵のことを指します。
環境的瑕疵は
- 騒音がひどい
- まわりに工場があって、異臭がする
などの、住宅近くの環境に起因する瑕疵です。
心理的瑕疵とは
- 建物内で自殺や他殺があった
- 近くに暴力団事務所がある
など、住んでいて心理的に辛いと感じる部分についての瑕疵です。
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瑕疵担保責任の期限
この瑕疵担保責任を負う期間ですが、半永久的に買主が売主に対して保証をするわけではありません。
そもそも物件は経年劣化によって欠損が生じてくるものですし、その責任が買主と売主どちらにあるのかの境界を見定めるのも難しいです。
なので瑕疵担保責任には基本的に期限があります。
ただ、この瑕疵担保責任の期限は新築住宅と中古住宅で異なります。
基本的には新築の場合、瑕疵担保責任は10年負わなくてはならないという法律になっています。
2000年4月に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、通称「品確法」にて、住宅施工業者が10年間の瑕疵担保責任を負うということが明記されています。
この10年間の瑕疵担保責任については雨漏りと基本構造部分になります。
また、宅地建物取引業法第40条でも宅建業者は物件の引き渡しから2年以上は瑕疵担保責任の期間を定めなくてはならないとされています。
これは品確法と並行して発生する責任です。
ただ中古物件の場合は特に「何年以上は瑕疵担保責任を負わなくてはいけない」というような取り決めはありません。
そのため、中古物件だと引き渡しから1ヶ月〜3ヶ月くらいを瑕疵担保責任を負う期間をとして設定していることが多いです。
かなりの築古物件の場合は瑕疵担保責任なしにしていることもあります。
これを瑕疵担保責任の免責と言います。
それによって買主が少し購入をためらってしまうこともあるとは思いますが、基本的に瑕疵担保責任というのは売主にとってはかなり不利なものではあります。
物件の瑕疵については売買の時に先に確認するものですし、中古物件の場合は瑕疵担保責任を負わなくてはいけないわけではないので、築古物件なら瑕疵担保責任無しにしてしまっても良いでしょう。
これら瑕疵担保責任の具体的な内容については重要事項説明の時にしっかり説明もしますし、売買契約にも記載をするものになります。
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個人か宅建業者かでも変わる
売主が個人か宅建業者か、というところでもこの瑕疵担保責任の期間に違いが出てきます。
先ほどちらりと説明しましたが、宅建業者は物件の売却を行う時、必ず瑕疵担保責任を2年以上の期間で定めなくてはならないということになっているのです。
個人でも法人でも、とにかく宅建業に携わる宅建業者であれば、不動産に関するプロが物件を売ることになるので、
瑕疵担保責任は2年以上負わなくてはいけないという決まりになっています。
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瑕疵保険というものもある
ちなみに瑕疵保険という売主の代わりに瑕疵があった場合補習費用を支払ってくれる保険もあります。
瑕疵担保責任を負いたくない場合はこういった保険に売主に入ってもらうというのも選択肢の一つとしてありでしょう。
保証期間は1〜5年としているところが一般的です。
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