地方の築古アパートを中心に投資をしています。
今回は不動産投資をされているオーナーさん向けに、相続税対策について、具体的にどんな方法があるかを解説してみたいと思います。
相続税対策には色々な方法がありますし、「これをしておけば間違いなく安心」というやり方は存在しません。
また、それぞれの方の置かれている状況によっても取るべき方法が変わりますので一概にこれを、というのは解説できませんが、参考例としてご紹介したいと思います。
新築で賃貸物件を建てる
ご存知の通り、相続税を計算する時は相続税評価額というものを使います。
現金や預貯金などは額面通りの計算になりますが、建物の場合は各自治体が出す固定資産税評価額をもとに評価がなされ、評価額が実際の価格よりも下がります。
さらに、建物の評価額は建物の築年数に関わらずおよそ60%となります。
これはつまり、中古を買っても新築を建てても、評価額がおよそ60%になるということです。
より大きい額の圧縮をするのであれば、新築を建ててしまう、というのが良いでしょう。
さらに、賃貸物件であれば、借家権割合30%×賃貸割合が控除されます。
賃貸物件を建てて仮に満室となった場合、借家権割合30%×賃貸割合100%の控除になりますよね。
つまり、評価額を60%×70%(100-30)で42%まで圧縮することができるのです。
ちなみに賃貸物件を建てると、土地の評価額も土地がある地域の借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合だけ控除されます。
例えば、現金1億円と評価額1億円の土地を持っているとします。
この状況で相続が発生した場合は、まるまる2億が評価額となります。
ですが、例えば現金1億円を使って賃貸物件を建てたとします。
新築ですので、満室となれば上限まで控除を使うことができ、建物の評価は1億円×60%×70%で4200万円となります。
また、土地の評価は8200万円となりますので、土地と建物合計して1億2400万円となりますね。
2億と比べると、7600万円も評価額を下げることができるのです。

小規模宅地等の特例を活用する
小規模宅地等の特例とは、被相続人が使っていた土地を、被相続人と同居していた配偶者や親族などが相続した場合、
土地の評価額を最大8割減額する特例のことを言います。
適用要件によって
- 居住用宅地等
- 事業用宅地等
- 貸付事業用宅地等
の3つに分類されます。
自宅用地が広い場合は、敷地に賃貸物件を建ててしまうのも良いと思います。

築古物件の建て替え
所有している築古物件があれば、建て替えやリフォームも相続税対策になります。
先述したように、賃貸物件の場合は賃貸割合によって控除額が変わってきます。
築古物件でも空室率が低い物件なら良いのですが、それなりに空室が出てしまっている物件だと、控除額が目減りしてしまいます。
リフォームや建て替えをして、稼働率を上げることが相続税対策にも繋がるのです。
複数の物件を所有しているのであれば、他の物件の空室に入居者を移動させ、建て替えをするという方法もあるでしょう。

不動産の買い替え
人口が都市部に集中している日本では、郊外の不動産を売却して、都心の不動産に買い替える、という選択肢を取るオーナーが増えてきています。
特にタワマンなんかは、建物の割合が高く、土地がほとんどありません。そのため、評価額をより圧縮することができ、相続税対策としては人気なのです。
ただ、これは逆を言うと、ほとんど土地がない不動産ですので、将来的に価値がほとんどなくなってしまう不動産、とも言えます。
何を軸にして考えるかによるのですが、その不動産そのものの価値わという切り口で考えるとなかなかおすすめはできないですね。
ただやはり都心部の不動産はすぐに埋まりますし、手間がかからないので買い替えをすること自体には賛成です。

不動産を整理することで、評価額を下げるのがポイント
すでに不動産投資を行っているオーナーさん向けに、相続税評価額を下げるための方法をいくつかご紹介しました。
ポイントとしては、
- 賃貸を活用して評価額を引き下げること
- 賃貸の稼働率を高めること(建て替え/リフォーム/買い替えなど)
この2つと言えるでしょう。
今すでにお持ちの不動産をどのように整理したら、相続税評価額を下げることができるのか、と考えてみると良いかと思います。
今回は不動産という観点から相続税評価額を下げる方法を解説してみましたが、もちろん生前贈与を上手く使って、相続財産を圧縮する、という方法もあります。
