地方の築古アパートを中心に投資をしています。
築古アパートなもので家賃も安く、必然的に入居者に生活保護受給者の方や高齢者の方も多くなっています。
コロナの影響なのか、インフレの影響なのかは分からないですが、
どうも2024年は家賃滞納などのトラブルがとても多かったです。

今回は、家賃滞納で強制となったお部屋のその後について、
弁護士さんにも相談しながら話を進めていった件を解説してみます。
この記事にはゴミ屋敷の現場写真が含まれます。苦手な方はご注意ください。
家賃滞納で強制執行へ
地方の築古アパートの一部屋で、家賃滞納がずっと続いていたお部屋がありました。
入居者とは連絡が取れず、家賃滞納が続いたままにしていては利回りが下がりますし、勝手にお部屋に入ることはできないので、訴訟を起こすことにしました。
日本の法律ではどんなに家賃滞納をされていても、入居者から退去の申し入れがない限りはお部屋に勝手に入ったり、荷物を出してしまう、というようなことはできません。
退去連絡がない以上は、訴訟を起こすしかないのです。

ドアノブが外れていることによって、誰もこのお部屋に入ることはできません。
結局裁判になっても本人の出廷はなく、そのまま勝訴となり、強制執行の権利を得ました。
強制執行の権利を得たことで、お部屋の中にも入ることができますので、残置物がある場合は撤去して、原状回復して、またお部屋を新しく貸しだそう、という流れでした。

お部屋がゴミ屋敷になっていた

こちらが実際にお部屋に入っていただいて送ってもらった写真です。
尿入りペットボトル多数、とのことでした。怖いですね…
督促の郵便物が来ていたので、電気や水道なども止められてしまい、トイレが流れない状況になっていたのかなと思います。
残置物処理だけで78万円かかる、という見積もりも来ていました。
見積もりだけ見た時は高いな、と感じたのですが、この写真を見て納得です。これは相当大変でしょうね。

財産の差し押さえはできる?
このお部屋は結局、裁判を起こして勝訴し強制執行に漕ぎ着けるまでで100万円ほどかかっており、
さらにこの残置物を処理するために78万円かかることになりました。
滞納家賃もありますし、トータルで200万円以上の損失が出ています。
お部屋はゴミ屋敷になっていたので、もちろんそこに価値のあるものなどなく、ただただマイナスになっている状態。
強制執行の権利を得ているので、例えば銀行口座にある現金を差し押さえたり、他に資産があれば差し押さえるということもできるのかな?と思い、弁護士の先生に問い合わせてみました。
本人も特定出来ていますし、強制執行権利があるのなら、財産の差し押さえもできるのでしょうか?それもお願いできますか?
すると弁護士先生から以下のような回答が。
判決によって金銭請求も認容されていますが、強制執行により差し押さえすべき財産を調べることは債権者側で行う必要があります。
詳しくお話しを聞いてみると、
- 裁判所を通じて第三者である銀行に照会をすることもできるが、まず強制執行が不能である報告をしなくてはいけない
- 照会する銀行もこちらでリストアップする必要がある(リストアップにも1件あたり5000円の費用がかかる)
- 照会しても銀行の預金残高が無い状態なら、費用倒れになる可能性が高い
とのことでした。
しかも弁護士先生曰く、
私の経験上、個人で失踪しているような事案では、トライしても上手く行ったことがないです。
とのこと。
今回のケースでは、訴状は勤務先に送達できたのですが、
判決書が勤務先に届かなかったとのことで、やはり文字通り失踪しているのではないか、とのことでした。
裁判に勝訴して強制執行ということになりましたが、
結局財産を差し押さえるための調査にも費用がかかり、実際に差し押さえられる財産があるかどうかも分からない状態だと、調査ばかりにお金がかかり、結局マイナスになってしまう可能性が高いというわけです。
かなりの費用がかかっているので、少しでも差し押さえられる財産があればいいなと思っていたのですが、
強制執行の権利が得られていて、本人が特定できていても、財産を差し押さえるのも難しいんですね。
これは実際に強制執行をしてみないと分からないことでした。
きっと深追いをしても良いことはないでしょうから、これ以上はアクションを起こそうとは思っていません。
結局かかった費用は全てオーナー負担になりますし、こちらとしては泣き寝入りです。
この方はもう保証会社も通らないでしょうから、新しく賃貸物件を借りることはできなくなるでしょう。
それでも、こちらばかりお金を払わなくてはいけないのは悔しいです。
不動産投資をやっていると色々なことがありますね。
