地方の築古アパートを中心に、区分マンションや戸建てにも投資を行っています。
投資歴は10年を超えました。
色々な物件を購入するために、私もいくつかの金融機関さんで融資をお願いしていますが、今回はその金融機関の「貸し剥がし」と呼ばれるリスクについて解説してみたいと思います。
なんだか言葉だけでもゾッとする響きですよね…笑
金融機関の貸し剥がしとは
なんとなく言葉から意味を汲み取れるとは思いますが、金融機関の貸し剥がしとは「融資をした個人や法人に対して、返済期限前に返済を迫ること」を言います。
返済期限前なのに金融機関に一括返済を求められる、ということです。
基本的には、債務者は期限の利益で守られているため、金融機関前に返済を迫ることはできません。
債務者は返済期限がくるまで債務の履行を行わなくても良い利益のこと。
この期限の利益の観点から、一般的には借り手の方が優位な立場であり、
通常の融資であれば貸し剥がしを急にされる、ということはあり得ません。
バブルが崩壊した1990年代前半以降は、巨額の不良債権を抱えた金融機関が貸し剥がしを積極的に行っていたそうです。
資金繰りが悪化した企業がどんどん倒産していったのだとか。
ですが今は期限の利益によって守られていますし、こちらに非がなければ急に貸し剥がしをされるということはありません。
関連記事:不動産投資の融資に関する基礎知識!金融機関や条件など
期限の利益の喪失
債務者は期限の利益で守られているのが一般的ですが、この期限の利益を喪失することもあります。
強制的な貸し剥がしが可能になる可能性があるということです。
融資契約を締結する際の契約書に「期限の利益の喪失」という項目があります。
そこに書かれている内容に背くと、金融機関は強制的に貸し剥がしができるようになるんですね。
一般的に、以下のような契約違反があると、期限の利益の喪失が起こります。
- 返済日に返済がなかった場合
- 債務者が契約書に記載した内容に違反や虚偽があった場合
- 債務者が破産手続き、民事再生手続きなどを開始した場合
- 債務者に対して保全処分、強制執行などが行われた場合
これらに該当するものがないように、返済を続けていかなくてはいけません。
関連記事:住宅ローンと不動産投資ローンは併用できる?借りる順番は?
住宅ローンで不動産投資をし、一括返済を求められる例も
知人の話ですが、以前住宅ローンで購入した物件を賃貸物件として貸し出し不動産投資をしていたことがあり、
これが金融機関にバレてしまって、一括返済を求められた、ということがあったそうです。
昔はそういったケースはよくあったみたいで、今は住宅ローンも「不動産投資の懸念がありそうな間取り」には融資を行わない、などの対策を行っています。
実際に私も中古物件を住宅用に購入しようとしたところ、「こういった間取りでは住宅ローンは組めないんですよ」という話を担当者からされました。
一般的な融資と比べると、住宅ローンというのは金利や融資期間がかなり優遇されている金融商品なんですね。
これは「住居」を購入するためのローンだからです。住居は誰にとっても必要なものですからね。
なので、その住宅ローンを使って不動産投資をすることは禁止されています。
住宅ローンを使って不動産投資をしているということは融資契約違反ということになりますので、期限の利益を喪失することになり、一括返済を求められた、ということですね。
知人はなんとかお金を工面して返済を行ったそうです。
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基本的には貸し剥がしのリスクはない
ということで、今現在においては、融資において貸し剥がしのリスクはあまりありません。
金融機関から融資を受けてしまえば、基本的には借りているこちらの方が権利的に守られており、強いのです。
ですが、住宅ローンで借りたお金で投資用の物件を購入したり、事業のために借りたお金を他のことに使ってしまって返済が滞ったりすれば、もちろん貸し剥がしにあう可能性はあります。
融資を受ける際に、必ず契約書の内容はしっかりと読み、理解しておくことが大切です。
契約書の中の「期限の利益の喪失」に関する項目も確認しておきましょう。
また、返済が苦しくなりそうだと思った時は放置せず、ありのまま現状を金融機関に相談するのが良いです。
放置してしまうと結局自己破産をするしかない、という方向になってしまいますが、
金融機関に相談することで、返済期間などを見直してもらえる可能性があります。(リスケジュール)
返済額や返済期間を見直してもらうことができれば、ローンの返済を続けられるかもしれませんからね。自己破産となってしまうと全てを失うことになるので、もったいないです。