築古物件だと、「建築確認済証がない」という物件が結構な割合であるものです。
こういった物件は売るにも買うにも厄介。
今回は建築確認済証がない物件というのがどういうものなのか、どんな問題を抱えているのか、救済措置はあるのか、ということについて解説してみたいと思います。
建築確認済証がない物件の意味
建築確認済証というものがどういうものなのかおさらいしておきましょう。
これは建物が建築基準法などの法律の規定に沿って建てられたものかどうか、ということを証明するための書類です。
通常建物を建てた時に、建築確認申請を出し、建築計画をもとに計画通りに建築されているかがチェックされ、基準をきちんと満たしていれば、この建築確認済証が交付されます。
基本的には工事完了から4日以内に受ける必要があり、また完了検査に合格した日から4日以内に交付されます。
建築確認済証がない物件というのは、「法律の規定に沿って建てられていることが証明できない物件」ということになります。
つまり違法建築の可能性があるということですね。
実はアパートなどの収益物件は、建ぺい率や容積率を無視して建てることで利回りが上がるため、建築確認をしないまま違法建築として建てられたものがあったりするのです。
中には建築確認をした後に確信犯的に増改築をして違法建築となっているものもあります。
有名なものだと、車庫として建てたのに建築確認後にその部分をお部屋にして貸し出しをする、という車庫転(しゃこてん)物件というものがあります。
こういった違法建築は昭和〜平成にかけて流行ったもので、
今は建築確認を通さないなんてことはあり得ませんが、当時ではよくあったことのようなのです。
築古物件の売買ではこういったところが厄介になってきます。
関連記事:違法建築と分かった上で賃貸してもいいの?
建築確認済証がないと売買が難しい
建築確認済証がない物件は売るのも買うのも難しいです。
問題のある物件である
まず、建築確認済証がない物件の場合は違法建築というリスクがある物件である可能性が高いです。
違法建築物の売買や、違法建築だと把握した上で賃貸に出すことそのものに違法性はありません。
ただ、違法建築で火災などの被害があり、違法建築であることで被害が甚大なものになったとされた場合、所有者はその責任を問われることがあります。
そういった意味で、リスクを抱えなくてはいけないので、買いたいという人が少なく、売れない原因になります。
買主がローンを組めない
対象不動産が違法建築の場合は金融機関でローンを組めません。
住宅ローンでも事業融資でも難しいです。
そのため、キャッシュで買うか、違法建築部分を修繕して登記し直すか、というようなことになってきます。
どちらにしても買主の負担は大きいですよね。
ちなみに私も最近購入を検討していた物件が、物置部分が違法建築で、登記をすると違法建築になってしまうが登記をしないと融資がおりないという状況になり、結局購入を諦めたということがありました…
増築・用途変更はできない
のちのち増築や用途変更をしようと思っても、現在の建物の適法性が証明できないと建築確認申請を受け付けてもらえません。
物件を購入してから大規模なリフォームなどを検討している場合、建築確認済証がないとやはり問題がでてくるのです。
私の場合は投資物件ではあまりリフォームはしないですけどね…!
リフォームはコスパ重視。大きなリフォームをしなくてはいけないような不動産はそもそも購入しません。
建築確認済証の再発行はできない
建築確認済証は再発行はできません。
紛失をしてしまった場合は、
- 建築計画概要書での確認
- 台帳記載事項証明書を発行
という手段があります。
建築確認概要書とは、どのような建物なのか、建築確認や中間検査などの各種検査が実されているかという履歴が記載されている書類で、
役所の建築指導課の窓口で閲覧が可能です。
発行手数料が100円〜500円ほどかかりますが、これを確認することで、「建築確認済証は発行されていたけど、現在紛失している」ということが確認できるかもしれません。
さらに、台帳記載事項証明書というものの発行ができます。
同じく役所の建築指導課窓口にて発行できるもので、
紛失した建築確認通知書の代わりとして発行される証明書です。
建築確認済証の再発行はできませんが、これを代わりとすることはできます。
台帳自体が存在しない場合は発行ができませんので注意が必要です。
発行ができない場合はやはり、ローンもおりないですし、増改築もできない問題のある不動産ということになってしまいます。
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