不動産投資をする時に一番最初に投資家が見るポイントは不動産利回りの部分だと思います。
しかし不動産利回りはグロスと呼ばれる表面利回りと、
ネットと呼ばれる実質利回りが存在します。
こういった知識がないと、ネットに書いてある「うまい話」にのってしまって
実際に不動産投資を始めてみたら思ったよりも儲からなかった、なんてこともよくあることです。
投資は必ず儲かる、というものではありません。
リスクもしっかり理解してから始めないと、マイナスになってしまう可能性もあります。
多くの人が勘違いしてしまいやすい、不動産利回りについて書いていきたいと思います。
ネットによく書かれているグロス(表面)利回り
ネットで見られる不動産投資物件に書かれている利回りというのはグロス利回りと呼ばれるものです。
表面利回りと言われることもありますが、
これは利回りを考える上で一番シンプルなものであり、
一番「見栄え良く書かれている利回り」とも言えます。
というのも、表面利回りというのは
シンプルに不動産購入価格と家賃収入のことだけを考えて計算されているものだからです。
例えば不動産購入価格が5000万円で、家賃収入が年間に500万円ある物件だったら、
グロス利回りは10%、ということになります。
つまり10年で投資額を回収することができる物件、ということですね。
しかし実際には不動産を取得する際は不動産取得税もかかってきますし、
不動産を維持していくためには固定資産税もかかります。
もちろん大きな修繕費がかかることもありますし、
何よりこのグロス利回りで考えられている家賃収入は「満室時の家賃収入」です。
不動産投資では満室経営を目指したいですが、
必ずしも満室経営ができるわけではないですし、地域の賃貸需要は時代によっても変化していくものですから
一定ではありません。
それを考えると、このグロス利回りだけで投資するかどうかを判断するのは非常に危険な事なのです。
特に地方の物件などは都心の物件に比べて物件価格が安いため、
このグロス利回りがかなり高めに書かれていることが多いです。
ざっと計算をするのにグロス利回りを見るのはありですが、
その不動産を購入するか本格的に考える時はグロス利回りだけを見て判断すると危険だと思ってください。
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より具体的な数字であるネット(実質)利回り
グロス利回り以外にネット利回りというものもあります。
これは実質利回りとも呼ばれるもので、グロス利回りに比べるとより具体的な数字のものです。
不動産投資を本格的に考えるのであれば、
このネット利回りの方を重視して不動産を判断していくと良いでしょう。
グロス利回りでは計算されなかった税金や、修繕費といった諸経費を考慮し、
さらにローンの支払利息なども考慮したのがネット利回りです。
先ほどは5000万円の物件で家賃収入が500万円の場合をグロス利回りで10%、という計算をしました。
ここに税金や不動産会社への手数料、保険への加入などを考慮していきます。
5000万円の不動産の場合はそういった諸々の経費が500万円ほどかかってくると考えた方が良いでしょう。
さらに、家賃収入は500万円ですが、ここに税金がかかってくるのと
満室では経営できなかった場合も考えた方がいいです。
すると利回りは5%程度に下がってしまうことがほとんどなんですよね。
各種税金もありますから家賃収入が年間で350万円ほどにしかならなかった時、
5500万円を投資金額とすると、利回りは6.4%ほど、ということになってしまいます。
利回り10%なら10年で回収できるけれど、
利回りが6.4%になってしまったら回収するのに15年以上かかる計算になります。
少し計算が変わってくるだけでこれだけの違いがでてきてしまうんですよね。
グロス利回りとネット利回りを正しく区別できていないと大変なことになる、ということがよくわかると思います。
不動産の探し方
グロス利回りとネット利回りの違いをきちんと理解することができると
「グロス利回りを見てもあまり意味はないのか」と思ってしまうかもしれません。
しかしネットなどに掲載されているほとんどの不動産情報にはグロス利回りが掲載されています。
なので、いくつかの不動産をピックアップするためにグロス利回りを見るのも良いでしょう。
一つの指標にはなると思います。
しかしそのグロス利回りを信じすぎず、実際のネット利回りがどれくらいになるのか、ということをある程度条件を自分で想定して計算してみると良いと思います。
本格的にその不動産の購入を検討する場合は、
さらにその地域の賃貸需要を調べたり、類似物件の賃貸条件などを研究して
ネット利回りをより具体的なものに近づけていくと良いでしょう。
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