「不動産投資は節税になります!」というセールストークをよく見かけます。
特に本業はサラリーマン、という方への副業大家をすすめるセールストーク。
実際サラリーマンが不動産投資をすると本当に節税になるのでしょうか?
そもそもサラリーマンの方は確定申告を自分でする機会がなかなかないと思いますので、どういったことをすれば節税につながるのか、という知識もあまりない方が多いのではないでしょうか。
経費は会社に出せば会社が精算してお金をくれますが、自分の事業の場合は経費に計上しても節税にはなりますがお金が全部還ってくるわけではありません。
税金の考え方とともに、サラリーマンで不動産投資をするとどのような形で節税になるのか、ということを解説していきたいと思います。
損益通算
損益通算と言って、もし不動産投資の方で赤字が出た場合、確定申告で赤字の分を給与所得から差し引くことができ、それによって税金がかかる給与所得の金額を減らすことができます。
不動産投資を行う場合はさまざまな支出が出てきます。物件を購入するための購入代金以外にも
- 不動産仲介手数料
- 司法書士報酬
- 火災保険などの保険料
- 修繕費
- 登記費用
- 印紙代
などです。
こういった支出は所得と合算することによって、かかってくる税金を減らせるので節税効果がある、ということですね。
しかし赤字は赤字です。投資として必要な金額は良いですが、その後も赤字が続くようでは節税効果どころか、マイナスが出続けるということですから意味がありません。
あくまで投資の必要経費を損益通算して節税することができる、と言う意味で、投資で赤字が出ていたら意味がないので、きちんとキャッシュフローは計算する必要があります。
またこちらは確定申告をする前提のお話になります。
会社に副業規定がある場合は注意が必要です。
関連記事:不動産収入の確定申告はいくらからしなくてはいけないの?
減価償却
土地は多少の変動はあれど、いつまでも価値は変わらないものですが、建物部分に関しては経年劣化がありますので、年々価値が下がっていくものです。
これを減価償却(げんかしょうきゃく)として経費に計上していくことができるのが不動産投資の魅力です。
減価償却とは建物の購入費用を残存耐用年数で割って経費として計上することができる制度のことです。
建物の耐用年数は構造別に決まっており、
- RC造(鉄筋コンクリート)は47年
- 重量鉄骨は34年
- 軽量鉄骨は27年
- 木造は22年
となっています。
中古物件でも減価償却は行うことができます。
つまり、物件を購入した年だけでなく、減価償却をすることができる間はずっと節税効果が得られるということですね。
もちろんこれも、キャッシュフローが赤字ではあまり意味がありません。
節税のために赤字にしていたら結局利益が出なくなってしまいますからね。
関連記事:中古物件の減価償却の計算方法は?
計上できる経費は増える
サラリーマン業では経費は会社に申告すればそのままもらうことができますよね。
ですが自分の事業の場合は経費としてもそのお金が還ってくることはありません。
しかし経費をたくさん計上することができれば、その分税金がかかってくる金額を減らせます。
不動産部分に関わる印刷費などの雑費は消耗品費として計上することができますし、物件を見に行ったりするのにかかる交通費も経費計上できます。
自宅でオーナー業をしているのであれば、家事按分することによって家賃や通信費なども経費計上することができます。
関連記事:不動産投資で得た収入の確定申告、経費にできるものはどんなもの?
基本的な税知識は必要
サラリーマンの方が不動産投資をすることによって節税になる、というのは確かにそういう側面があります。
しかしそのためには確定申告は必須になります。どのような副業であれ、サラリーマン業での給与所得以外に年間で20万円以上の利益が出る場合は確定申告はしなくてはいけなくなるんですね。
簡単に確定申告をするのであれば白色申告になりますが、きちんと節税効果を出したいのであれば青色申告ということになります。
開業届を出して事業として不動産投資を行う、ということですね。
その場合は経費も勘定科目ごとに仕訳をして、帳簿をつける必要があります。
これはかなり面倒な作業ですし、領収書などしっかりと保管しておかなくてはいけません。
そういった細かな作業も行うことができるかどうか?
単純に「節税になるから」という理由で不動産投資を行うのは危険です。
不動産が好きな人、お金の計算をするのが苦にならない人じゃないと、不動産投資をして節税効果をあげるのは難しいと思うんですね。
単純なセールストークの「不動産投資は節税効果があります!」という言葉に騙されないようにしてください。
もちろん不動産が好きなのであれば、節税効果がないわけではありませんし、楽しい投資方法の一つだと思います。