地方の築古アパートを中心に、戸建てや区分マンションにも投資をしています。
不動産投資歴は10年を超えました。
今回は不動産業界の中で注意したい三為(さんため)業者について解説してみたいと思います。
三為業者とは
不動産業者が物件を購入して販売する、いわゆる転売をする際は、第三者のためにする契約を用いることがあります。
第三者のためにする契約とは、売主からから不動産業者へ、不動産業者から買主へ物件が転売されるシーンにおいて、
売主から不動産業者へ所有権が移ったことの登記を省略できる契約のことをを言います。
三為業者とは、第三者のためにする契約を用いて物件を転売する不動産業者のことで、
第三者のためにする契約を三為契約と略し、三為業者が三為契約で利益を得る仕組みを三為スキームと呼んだりします。
三為契約は三為業者のみが用いる転売方法ではなく、一般の不動産業者が用いることもあります。
「転売」と言うと転売ヤーなどの言葉が浸透しているため、悪いことのように感じられますが、三為契約や三為業者は違法ではありません。
安く買って高く売る、というのは投資業界では当たり前のことですし、売主も買主も同時期に見つけられるのであれば、面倒な手続きを省略したいと思うのも当たり前です。
三為契約を行う理由
三為業者や不動産業者が三為契約を用いる理由は主に
- 登録免許税の節税
- 買主が買取額を把握できないようにする
という2つの理由からです。
登録免許税の節税
物件を業者が転売する場合、物件の所有権は
売主→業者→買主
という流れで移転します。
なので、通常であれば、
- 売主から不動産業者へ所有権が移った時の所有権移転登記
- 不動産業者から買主へ所有権が移った時の所有権移転登記
の2つの登記が必要になります。
この所有権移転登記では登録免許税が課されます。
ですが、ここで三為契約を用いて売買を行えば、売主から買主に直接所有権を移転することが可能なんですね。
売主から買主に直接所有権を移転することができれば、所有権移転登記も1度で済みますし、登録免許税の課税も1度となります。
つまり、登録免許税の節税になるのです。
買主が物件の買取額を把握できないようにする
三為契約により物件を購入する場合、
買主は不動産業者と売買契約を結びます。
そして、その売買契約書には不動産業者が売主からいくらで不動産を買い取ったか、その価格の表記はありません。
三為契約を用いて物件を転売する場合、不動産業者は買主に物件の買取額を知られることがないので、
ものすごく安く購入することができた不動産でも高く売ることが可能、というわけですね。
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三為業者の詐欺手口
三為業者が三為契約を用いて不動産を売買する場合は、不動産の仕入れ額が買主に把握されないため、
業者の好きな金額で不動産を売却することができます。
そのため、それを悪用し、三為業者はその物件を購入する投資家が借入できる金額の上限を物件価格に設定することがあります。
投資家が借入できる金額の上限をあらかじめ三為業者が銀行から聞き出し、金額の設定を行うのです。
そして借入先の銀行は三為業者が買主へ斡旋するわけですね。
こういったスキームがあるため、不動産の売買をする時は三為業者に高く物件を売りつけられてしまわないように注意が必要、というわけです。
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三為業者の見分け方
不動産の転売は違法ではありませんし、
三為業者ではない一般的な仲介業者でも、売却益を得る目的で三為契約を用いて転売を行うこともあります。
自分が不動産を購入する時に三為契約を用いることももちろんあるわけで、そういった場合、三為業者による高値掴みである可能性は捨てきれません。
三為業者にはどのような特徴があるのでしょうか?
詐欺に遭わないために、その特徴を知っておきましょう。
売買契約を急がせる
これはどのような売買においても同じことが言えますが、
執拗に売買を急がせるような業者には注意が必要です。
不動産売買はスピード感が大事ではあるのですが、自分の意思で急ぐのではなく、業者に急かされて売買を急ぐようなことがあれば、一度冷静になって売買を考え直してみた方が良いでしょう。
売買契約書の特約事項を確認する
売買契約を確認すれば、三為契約により転売される物件かどうか、ということを確認することができます。
以下のような特約の記載がある場合は、三為契約により転売される物件であると考えて良いでしょう。
乙は丙に甲の物件を売却し、丙は乙に代金を支払う
乙の丙に対する所有権移転債務は甲が履行し、所有権は甲から丙に直接移転する
もちろん一般の不動産業者も三為契約を用いることがありますので、この記載があったからといって、三為業者による詐欺だ、と決めつけるのは早計です。
ですが、三為契約であることを認識できる文言ではありますので、少し注意してみると良いと思います。