先日、
いい物件はないかな〜〜
と思って物件情報を見ていたのですが(日課です笑)
少し気になった物件に告知事項があり、
そこに「告知事項:入居者自然死」と書かれていたんですね。
あれ、自然死の場合は告知義務はないはずだけどな?
と思ったので、改めて調べ直してみることにしました。
今回は「告知事項:入居者自然死」という記載が何を示すのか、探ってみたいと思います。
自然死に告知義務はない
今一度調べなおしてみたのですが、国土交通省が発表している「宅地建物取引業による人の死の告知に関するガイドライン」を見てみると、自然死に告知義務はない旨が記載あれています。
・取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。
・賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。
理由をざっくりまとめると、居住用不動産では自然死というのは一般的に起こり得るものであるから、ということでした。
確かに人間誰でも死に向かっているわけですし、自宅で亡くなってしまうというのは珍しいことではないですよね。
これらを全て事故物件としていたら、そこらじゅうの家が全て事故物件ということになってしまいます。
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例外として自然死に告知義務が発生することがある
基本的には自然死の場合は告知義務は発生しないのですが、例外的に告知義務が発生する場合があるようです。
それが、物件に心理的瑕疵(かし)や物理的瑕疵が認められる場合です。
瑕疵(かし)というのは不動産業界独特の言い方のように思います。
(お恥ずかしながら私は不動産業のことを勉強するまではこの言葉を知りませんでした笑)
不動産業界でいう瑕疵には主に4つの種類があります。
- 物理的瑕疵…物件に物理的な欠陥や不具合があること
- 心理的瑕疵…その物件に存する事情によって、購入者や居住者等に、心理的な嫌悪感などを与えて平穏に生活することができない
- 法的瑕疵…物件に建築基準法等の公法上の規制がある
- 環境的瑕疵…土地・建物そのものに瑕疵はないが、建物周辺の生活環境に嫌悪感や不快感、健康被害を催させる施設や状態があること
このうち、自然死による物理的瑕疵や心理的瑕疵というのは、どういう状況かというと、
- 物理的瑕疵…人の死によって建物に物理的な欠陥が生じていること(発見が遅れてご遺体の腐敗が進んでおり、異臭が発生してしまったり、体液が畳や床に染み付いているなど)
- 心理的瑕疵…買主や貸主が人の死があった事実に対して抵抗感や不安感を持つ要素がある(近隣でよく知られていた長い闘病生活を送っていた人が家の中で亡くなった場合、近隣から噂されてしまう、など)
といったことを指します。
心理的瑕疵に関しては、人によって感じ方も違うため、
どこまでを心理的瑕疵とするか、その定義はかなり判断が難しいですよね。
基本的には自然死で告知を行っているものは物理的瑕疵があるものなんじゃないかな、と個人的には思います。
競売に出されたマンションで、売買が決まっていたのに、
のちのち物理的瑕疵と心理的瑕疵が認められ、売却許可決定の取り消しが認められた判例もあります。
(この件では死亡4ヶ月が経過している元所有者のご遺体が発見されていました)
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告知事項にある入居者自然死は、単なる自然死ではない
ということで改めて調べてみての結論としては、
自然死そのものに告知事項はないため、「告知事項:入居者自然死」というのは、単なる自然死ではないだろう、というところでしょうか。
この物件に直接問い合わせを行った訳ではないので真相は不明ですが、
多分この物件は自然死で人が亡くなり、そこから発見が遅れてしまったケースなのではないかなと思います。
そしてなんらかの物理的瑕疵があるのではないでしょうか。
告知事項ありで物件を売却しようとするとどうしても相場から価格を下げざるを得ません。
内容にもよりますが、相場の2〜3割程度価格が下がるものと考えて良いです。
もちろんそれを賃貸に出す時も同じく、相場より少し家賃を下げることになると思います。
(最近はそれを知っていて、あえて事故物件のみを探している人もいるようですが笑)
つまり物理的瑕疵がある程度しっかりあるからこそ、告知ありで掲出している物件なのではないかなと思うんですね。
こういった物件はなかなか投資するのも難しいだろうなと思いまして、今回は購入検討物件からは外しました。
売り出し中の物件を眺めているだけでも気付きがあるので面白いものです。
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