入居者の家賃が払えなくなった時に入居者側からオーナーへ家賃減額交渉が入ることがあります。
1度下げたら家賃を再びあげるのはなかなか難しいですから、減額交渉に応じて家賃を減額した場合は、今後ずっとその家賃でお部屋を貸さなくてはいけなくなってしまいます。
家賃が変われば当初想定していたり周りから大きく利回りが変わることになりますし、今後のキャッシュフローも苦しくなるでしょう。
しかしこれから新型コロナウイルスの影響などもあり、家賃が払えなくなる人は多くなると思われます。
家賃減額交渉も増えるでしょう。
そういった時に入居者に対して、一方的に「家賃の減額には応じられない」と伝えるのではなく、「家賃の減額に応えることはできないけれど、こういう方法がありますよ」という提案をすることができれば、穏便に事を進めることができるかもしれません。
そのためオーナー側にも、入居者を支援する制度に対する知識が求められると思います。
今回はその中の一つである住居確保給付金について、どういった制度で、どのような条件の場合に利用することができるのかということを解説してみたいと思います。
住居確保給付金とは
住居確保給付金とは「期限付きの家賃代理納付制度」です。
離職や経済的な困窮、休業などで家賃を支払うことができなくなってしまい、相撲を失う恐れがある人が対象となるのが住居確保給付金です。
入居者が申請を行うもので、条件を満たしていれば原則として3ヶ月、最大9ヶ月の間家賃がオーナーの口座に直接振り込まれます。
もちろん会社員だけではなくパートやアルバイト、フリーランスで働く人の対象となっています。
実はこの住居確保給付金という制度は新型コロナウイルスが蔓延する前からあったもので、2015年に施行された生活困窮者自立支援制度に基づいて作られたんですね。
生活困窮者向けに相談窓口が設けられており、家計の相談や就労支援などを行っています。
生活保護の受給の前に相談することができる場所というイメージでしょうか。
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住居確保給付金の条件
この住居確保給付金ですが申請は入居者が住んでいる地域を管轄する生活困窮者自立相談支援機関に行います。
給付を受ける条件としては
- 申請月の世帯収入合計額が基準額+家賃額以下または申請月の翌月から収入要件を下回ると証明できること(金純額は東京都1級地の場合:単身世帯13.8万円、2人世帯19.4万円、3人世帯24.1万円)
- 申請月の世帯の預貯金合計額が基準額×6(ただし100万円を超えない額)以下(基準額は東京1級地の場合:単身世帯50.4万円、2人世帯78万円、3人世帯100万円)
- 申請日において65歳未満であって、かつ、離職などの日から2年以内であること(2020年4月20日より変更予定で、「給与などを彫る機械が個人の責に帰すべき理由が都合に寄らないで減少し、離職などには至っていないが同程度の状況にある方」が追加される)
- ハローワークに求職の申し込みをし、誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと(具体的にはハローワークで月に2回以上の職業相談、自治体で面接支援など月4回以上、来庁が困難な場合は電話など対応可能で、回数を減免することも可)
などといったものが定められています。
新型コロナウイルスの影響もあり、これらの要件もすこし緩くなりつつあります。
給付の条件に含まれている給食活動の要件も撤廃されることになりました。(2020年4月30日〜予定)
また65歳未満という年齢要件も2020年4月1日時点で実施すみとなっています。
住居確保給付金に関する要件緩和については厚生労働省より資料が出されているので見てみてください。
新型コロナウイルスの影響により家賃減額交渉が入った場合は、是非一度オーナーの方から入居者へ、住居確保給付金の案内をしてみてください。
ちなみに住居確保給付金の申請に必要な書類は身分証明書のほか賃貸借契約書の写しなどになります。
これは自立相談支援機関の窓口に提出し、通知を受けたあとに給付が行われますが給付までは2週間ほどが目安です。
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家賃減額の前に!
もともとはリーマンショックの時に作られていた制度なども、新型コロナウイルスの影響による打撃に使うことができるものがあります。
ちなみに賃貸住宅に入居するための初期費用の支払いが困難な人に対しては社会福祉協議会の生活福祉資金(総合支援資金)を借りることも可能になっています。
これからはそういった人が特に多くなっていくと思います。
オーナー側も入居者の経済状況に関しては知っておいた方が良いと思いますし、家賃の交渉などがあった時にそういった制度に関して案内できると入居者としても安心感を持ってもらえるかと思います。
お部屋を貸すだけでなく、入居者の目線になって制度の勉強をしておくと良いかと思います。
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