ガス会社の変更、見直し、というのは大家さんにとって、様々なメリットがあります。
オーナーチェンジした時点でガス会社を特に変更せず、そのまま既に契約しているガス会社を使う大家さんも多いですが、
ガス会社を見直してみることで思わぬメリットがあるかもしれません。
ガス会社の変更権は大家さんにある
ちなみにガス会社の変更権は基本的に大家さんにあります。
借主が「ガス料金が高いからガス会社を変更したい」と思っても、借主の一存でガス会社を変更することはできません。
必ず貸主である大家さんの了承が必要になります。
特に賃貸アパートや賃貸マンションなどの集合住宅の場合は、ガス会社を変更する、となると
一部屋だけでなく集合住宅全体のガス会社を変更しなくてはいけなくなるため、ガス会社を変更するかどうかを決められるのは大家さんのみなんですね。
1部屋ずつガス会社を変更する、ということはできないのです。
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ガスの種類
ガスには
- 都市ガス
- LPガス(プロパンガス)
の2種類があります。
それぞれについて簡単に説明してみます。
都市ガス
都市ガスは事業者により原料が様々で、種類がいくつかあります。
これがガスの規格、と呼ばれるもので、主な規格としては
- 13A
- 12A
この二つが多いですね。
全国約200の業者がありますが、その中でも大手なのが
- 東京ガス(関東地方)
- 東邦ガス(東海地方)
- 大阪ガス(関西)
- 西部ガス(九州北部)
でしょう。東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの大手3社でシェアの7割を超えているガス業界。
種類によって使える機器が異なります。
ガスの規格にあった機器でないと使用することができないので注意が必要です。
都市ガスはもともと公共料金であり、2017年から自由化されましたが、公共料金の値段設定が残っているところが多いので
LPガス(プロパンガス)に比べると比較的料金が安いのが特徴です。
LPガス(プロパンガス)
LPガス(プロパンガス)は主に専用の容器で供給されており、日本中どこでも同じ成分です。
LPガス(プロパンガス)は都市ガスとは違い自由料金なので、料金に対する規制がなく、
事業者によってガス料金がまちまちです。
ガス料金を公開している事業者は少ないので、
地域のLPガス事業者に問い合わせて、見積もりを出してもらう、という形でしか料金を調べることができないことがほとんどです。
アパート経営にプロパンガスを選ぶ理由とガス会社の選び方を解説で、プロパンガスについての詳しい解説をしているので、ぜひ。
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ガス会社変更による大家さんのメリット
①設備投資の軽減
現在給湯器を借りるのにお金がかかっていないでしょうか?
プロパンガス事業者の場合は、給湯器を無償貸与してくれる事業者が結構あります。
物件の条件によっても様々なのですが、プロパンガスの場合は
- 築年数が15〜25年の物件(設備の初期投資費用の償却が済んでいることが多い)
- 2DK以上のファミリー向け賃貸
- 給湯器が標準タイプの場合(他にスリムタイプ、FF型タイプ、バランス釜タイプなどがある)
- 入居率が70%以上である
といった条件を多く満たしている物件の場合は、ガス屋さんが積極的に給湯器の無償貸与のサービスをしてくれる可能性が高いです。
ガス屋さんにとっても、こういった条件を満たしている物件では利益を得やすい投資対象、と考えられるからです。
入居率アップへ繋がる
今まで都市ガスの物件を借りていた人にとっては、プロパンガスの物件に引越しをすることは嫌煙されがちです。
しかしプロパンガスは事業者によって値段がかなり変わってくるので、
しっかりとガス会社の料金を調べて、見直しをすれば、プロパンガスでも安く使える事業者もあるでしょう。
入居中の部屋でも、ガス会社を変更してガス代が下がれば、
入居者は「生活のこともしっかり考えてくれる大家さんだ」と思ってくれると思います。大家さんに対する印象って重要なのです。
ガス会社によっては特典がつくことも
ガス会社によっては、ガス周りだけでなく、別の特典をつけてくれるところもあります。
物件の状態やどのような入居者をターゲットとしているか、というところで大きく変わってきてしまうものですが、
たとえば給湯器の無償貸与以外にも
- 物件全室にエアコンを無償貸与
- 物件全室にテレビモニタ付きドアホンの無償貸与
- 入居者が無料で利用できるインターネット回線を、工事費無料で導入
という特典をつけてくれる場合があります。
これはガス会社によりますけどね。最近は少しこういった特典の付与状況も厳しいものになってきていますけど……。
入居者が無料で利用できるインターネット回線は入居の決め手としても上位にくる理由で
引っ越したその日からインターネットを使うことができる物件、というのは周辺物件とも差異をつけやすい条件です。
入居者が無料でインターネットを利用することができる代わりに、家賃を少しだけアップする、というようなこともできます。
こういった入居者に嬉しい特典がつけば、入居率アップに繋がるでしょう。
テレビモニタ付きドアホンなんかは、防犯面において女性にも喜ばれる条件と言えるでしょう。
※2024年からは「過大な営業行為の制限」を中心とした内容が「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令」として公布されました。従って、2024年以降はこういった過度な営業行為に関しては厳しくなっていくと思います。
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ターゲット層によっても異なる
ガス会社の選び方はどのような入居者をターゲット層としているかによっても変わってくると思います。
例えば単身者向けの物件なのであれば、一人の生活ですのでガス会社にはあまりこだわりがない、という人が多いです。
どちらかというとそれ以外の防犯面や設備の方を優先させる人が多そうです。
対してファミリー向けの物件であれば、長く住むことが前提ですし、家族がいる分、使用するガスの量も多くなるので
プロパンガスよりも都市ガスの方が好まれる傾向にあります。
それぞれの物件に合わせて、ガス会社を検討してみると良いかもしれません。
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