少子高齢化がますます進んできてしまっている現在の日本では高齢者が単身で入居しているという物件も増えてきています。
それとともに増えてきているのが一人で住んでいた高齢者が孤独死してしまい、発見が遅れるというケースです。
自然死の場合は基本的には事故物件扱いにはならないのですが、発見が遅れてしまうことによってその物件が事故物件扱いになってしまうこともあります。
単身の入居者が死亡してしまった場合、残置物はどのように処理すればよいのでしょうか?
残置物とは
そもそも残置物とは何のことを指すのでしょうか。
残置物とは入居者が退去する際に残していく家具や家電などの私物のことを指します。
引越しをする際に必要ないと判断したものを残置物として置いていく入居者がいますが、その代表的なものとして挙げられるのがエアコンなどでしょう。
設備としてオーナーが管理しているエアコンもあるのですが、前の入居者が使っていたものをそのまま置いていく残置物としてのエアコンもあります。
電気の傘などもありますね。
基本的には残置物というのはそういった「前の入居者が置いていったもの」を指します。
基本的には前の入居者が置いてったもののことですが、入居者が死亡してしまうことによって取り残されてしまった私物も残置物と呼ぶわけです。
単身者による賃貸契約が増えている昨今、近くに親族などが住んでいれば問題ありませんが取り残されてしまった残置物をどのように扱ったらいいのかわからずオーナーが困り果ててしまうというケースも増えています。
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入居者が死亡した場合オーナーがすべきこと
相続人の確認
入居者が突然死亡してしまった場合ですが、残置物は私物にあたりますので勝手にオーナーの方で処分することはできません。
死亡してしまった段階で残置物の所有権は借主から相続人へと移り変わります。
なので相続人が誰なのかということをまずは調べなくてはいけません。
賃貸契約をしていると緊急連絡先や保証人の記入してもらっていると思いますのでそこに連絡をして相続人の連絡先を聞くことになります。
相続人がいればその相続人との間で賃貸借契約を解除することもできます。
賃貸借契約を合意の上解除し物件の明け渡しや敷金の精算などの手続きを相続人と進めていく形になります。
その際残置物は相続人に処分してもらった上で物件を明け渡してもらいましょう。
もし相続人が遠方にいるなどの理由で残置物の処分をできない場合は、相続人に残置物の所有権を放棄してもらい貸主が処分することに同意をしてもらう必要があります。
残置物の所有権放棄と貸主による処分への同意はトラブルの元になることがあるので必ず書面にしておきましょう。
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相続人や保証人がいない場合は相続財産管理人に依頼
ただし中には相続人がいない場合、もしくは法定相続人全員が相続放棄をする、というケースもあります。
そういった場合は相続財産は民法951条によって法人となり、裁判所から選任された相続財産管理人(弁護士などの専門家)が相続財産を管理し、処分する権限を持ちます。
この相続財産管理人が選任されていなければオーナーが自ら裁判所に選任を申し立てることができるのですが、相続財産管理人の選任申立には手間や費用がかかります。
大雑把に100万円前後の費用がかかる内容で、これらをオーナーがやるのはとても大変なことです。
しかし相続人がいないからと言って賃貸借契約が勝手に終了にはなりませんし、残置物をオーナー側で処分することができるというわけではありません。
そのため入居者が死亡してしまって相続人がいないケースというのはオーナーにとって非常に辛いケースなのです。
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残置物処理を依頼された場合
中には残置物の処分を貸主に相続人が依頼するケースもあります。
基本的には相続人の相続放棄によって所有権が無くなった場合や、明け渡しの強制執行があった場合のみ残置物の処分をすることができるので
許可がないままに残置物を処分することは絶対にしないでください。
また処分の依頼をされた場合はその内容も書面として残しておくと良いでしょう。
残置物の処理は残置物処理業者という業者があるのでそちらにお願いするのが一番良いかと思います。
自分で処分をしたりリサイクルショップにお願いするケースもありますが、残置物に対して専門的な知識を持った業者にお願いすることができるので残置物処理業者に依頼をするのがおすすめです。
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入居者が死亡することで次の入居募集までに期間が空いてしまったり、クリーニング費用がかかったりと色々大変ですが、
まずは冷静に対応する、ということが一番大切です。
次の入居者を早く入れたいからといって、勝手に残置物を処理したりしないようにしましょう。