近年は日本の空き家がどんどん増え続けており
すでに社会問題となってきていますが、その背景には「更地よりも土地に何かしらの建物が建っていた方が固定資産税が安くなる」という背景があります。
更地の固定資産税を節税する方法はないのでしょうか?
更地の固定資産税が高くなる理由
空き家問題が加速する理由の一つに、
更地にすると固定資産税が上がってしまう、というものがあります。
もちろん空き家を解体するにもまとまった解体費用がかかってしまいますしね。
土地に建物が建っている方が土地が更地であるよりも固定資産税が安くなるのは
特例措置が適用されているからです。
もともとあるはずの固定資産税が、土地に建物を建てることによって特例と見なされ、減税措置がされるんですね。
つまり建物が建っていることによって節税になるのです。
どうして土地に建物が建っていると特例と見なされて固定資産税が安くなるのか、というと
土地に建物が建っていることによって「その土地を有効活用している」と見なされるからです。
例えばとても人気のある地域に土地を持っている人がいて、
土地を有効活用してそこに住宅を建てたり、お店を開いたりしていれば、
それだけその地域が魅力的なものになりますよね。
しかしその土地が更地のままになっていたら、地域の価値も下がってしまうでしょう。
つまり国からすると、土地には建物を建てて有効活用してほしいのです。
なので土地にかかってくる固定資産税が、建物を建てることによって特例と見なされ、減税される、という仕組みになっているのですね。
しかしこの特例措置が空き家問題を深刻化させている要因の一つと言っても過言ではありません。
特例措置ができた背景はとてもシンプルなものだと思うのですが
建物が建っている方が固定資産税が「安くなる」と考えている人が多くて混乱を招きやすくなっているのも確かです。
正確には、本来かかってくるはずの固定資産税が
土地を有効活用することによって少し減税される、ということですね。
関連記事:更地と宅地の違いって何?空き家は解体すると損する?
更地にかかる固定資産税の計算方法
では更地にかかってくる固定資産税はどのように計算するのでしょうか?
固定資産税の計算方法
固定資産税は
(土地の評価額)× 0.014
で求めることができます。
例えば土地の評価額が1000万円だとしたら、年間で払う固定資産税は
1000万円×0.014=14万円
ということになります。
固定資産の評価額は3年に一度国土交通省が決めており、
その評価額に納得がいかない場合は、公布日から60日以内であれば書面にて不服申し立てをすることができうようにもなっています。
都市計画税が課される市街化区域
もし所有している土地が市街化区域なのであれば、
固定資産税の他に都市計画税というものも納める必要があります。
市街地区域とは
「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」
所有している土地が市街地区域かは市役所などに問い合わせればすぐにわかります。
都市計画税の計算方法は
(土地の評価額)×0.3%(上限)
となっています。
都市計画税の税率は市区町村によって異なります。
上限が0.3%、ということになっていますので、これも詳しくは市役所などに問い合わせてみた方が良いでしょう。
市街地区域に土地を持っている人は
固定資産税と都市計画税が別々に課税されるので
年間に払わなくてはいけない税金は固定資産税と都市計画税を合算した金額になります。
関連記事:減価償却は耐用年数を超えた場合でもできる!その計算方法は?
固定資産税の節税!特例措置とその内容
国が定めている様々な特例措置があり、
この知識をしっかりと持っていれば節税対策になるでしょう。
土地への特例措置
冒頭でも述べた通り、更地のままだと土地の評価額にそのままかってきてしまう固定資産税が
建物が建っていることによって特例措置が適用され、減税されます。
●小規模住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以下の部分)
- 固定資産税:評価額×1/6
- 都市計画税:評価額×1/3
●一般住宅用地(住宅やアパート等の敷地で200平方メートルを超える部分)の場合
- 固定資産税:評価額×1/3
- 都市計画税:評価額×2/3
以上の割合で税金が減税されるようになっています。
更地のまま持っているよりも建物を建てた方が節税になるケースが多いですね。
ただし、空き家として残しておいた方が節税対策になるケースと
そうでない場合があります。
建物自体にかかってくる固定資産税もあり、その固定資産税が無くなった方が、全体としての税金が安くなる場合もあるので
注意が必要です。
家屋への特例措置
土地だけでなく、家屋に対して特例措置が適用されることもあります。
- 2016年3月までに建てられた3階建て以上の耐火構造、または準耐火構造の建物で、床面積が50平方メートル以上280平方メートル未満の場合、120平方メートル以内の部分についての税が一定期間半分に減税
- 1981年1月1日以前に建てられた住宅を取り壊して、耐震化を行った新築住宅に関しては3年間固定資産税免除
ほかにも省エネやバリアフリーのための改修を行った家屋に対して特例措置が認められるケースもありますので
こういったところは専門家へ相談してみると節税の道が見えてくるかもしれません。
関連記事:不動産投資の利回りの最低ラインはどうやって判断する?