賃貸トラブルで起こりがちなのが、お部屋で発生したカビに関するトラブル。
生活をしていると多少のカビが生えてしまうことがあるのはしょうがないこととも言えますが
中には住宅自体の欠陥が原因で、カビが発生しやすいお部屋になっている、ということもあります。
判断が難しいところでもあり、
カビのトラブルに関してはオーナーが悪いのか、入居者が悪いのかが曖昧で、意見の食い違いも起きやすいものです。
今回はカビに関する賃貸トラブルについて、紹介していきたいと思います。
オーナー、入居者、それぞれの義務
まずは賃貸物件において、オーナーと入居者にそれぞれどのような義務があるのか、ということを改めて確認しておきたいと思います。
賃貸借契約書にも明記されている内容だとは思いますが、特に「カビ」に関する部分にスポットを当てて掘り下げていきましょう。
オーナーの義務
貸主であるオーナーは、家賃を対価として「借主に基本的な生活ができるお部屋を提供する義務」があります。
例えば建物に欠陥があるような場合はそれを修復する義務がオーナーにありますし、
設備としてお部屋に付随しているものは使える状態にし続けなくてはいけません。
ここに落ち度があった場合は、オーナーに責任が出てきますので
カビのトラブルに関しても、お部屋に欠陥があってカビが発生しやすい状況になっているのであれば
オーナー側に責任がある、ということになります。
入居者の義務
入居者には「善管注意義務」と言って、お部屋を適切に利用する義務があります。
家賃を払っているとはいえ、そのお部屋はオーナーの所有物ですので
常識的な範囲に沿ってお部屋に住まなくてはいけません。
お風呂の水を常に張りっぱなしにしている、だとか、
お部屋の換気を全くしないまま住み続ける、というような行為は、常識的な範囲内での生活とは言えないでしょう。
その中でもよくあるのは「結露を放置する」というものです。
どうしても冬の寒い時期なんかは料理をするだけで、結露が発生してしまうものですが
それを毎回放置してしまうと、窓の周りにカビが発生してしまうのは当たり前のことです。
そういった入居者の落ち度によってカビが発生してしまっているのであれば、賠償責任は入居者にあると言えます。
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お部屋の利用状況がカギ
特にアパートやマンションなどの集合住宅になると、一戸建てに比べて気密性が落ちるので
窓などに結露が発生しやすくなってしまうものです。
重要になってくるのは、入居者がどのようにお部屋を利用しているか、というところでしょう。
例えば
- お風呂の水を溜めっぱなしにしている
- 濡れた靴をそのまま靴箱に入れてしまう
- 結露した窓などをいつも放置してしまう
- 掃除で水拭きをし、そのあとに乾拭きをしない
- 換気をあまりしない
というような使い方をしてしまっていると、カビは発生しやすくなってしまいます。
カビが問題になっているお部屋の入居者にはこれらの項目を確認し、
当てはまるものがあるようなら改善してもらうようにしましょう。
特にお部屋の換気には一定の効果があり、毎日一度は空気を入れ替えるようにすることでカビの発生を大幅に抑えることができます。
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カビのクレームへの対応
お部屋のカビがすごい、というクレームが入った場合は、
速やかにお部屋の利用状況の確認をするとともに、カビの原因がどこにあるのかを特定する必要があります。
前項でお話した利用状況などが該当しない場合は、
もしかしたらお部屋の構造に問題があるかもしれません。
雨漏りなどをしていないか、排水管に問題はないか、特に水回りを中心にカビの調査を行いましょう。
利用状況を改善するとともに、カビキラーやハイターなどでカビ対策を行ってもらうように促します。
それでもカビの発生がおさまらなかったり、状況が改善されない場合は、カビの専門業者に対応を依頼した方が良いでしょう。
また、別の部屋で同じようなカビが発生していないか、ということも調査すると良いです。
同じようにカビが発生してしまっている部屋があるのであれば、建物の構造に問題があると言えるでしょう。
いずれにせよ専門業者に依頼をすれば、カビの原因を特定できるかと思います。
賠償請求などをされた場合
中にはカビの発生に対して、入居者側から賠償請求などをされる場合があります。
カビの発生がもし建物の構造によるものであったり、設備のメンテナンスを怠っているのが原因だった場合は
オーナーは入居者からの賠償請求に応じなくてはいけなくなります。
- 修繕費用
- ホテル代
- 病院代
といったものを請求されることがありますが、
これらは明確にその費用がかかった、という証拠をもらう必要がありますから
明細書や診断書などを入居者に提出してもらうようにしましょう。
また、やりとりは証拠が残るようにメールなどの文面で形が残るようにする方が良いです。
状況によっても責任の所在は変わってくる内容ですので
話が複雑になってきた場合は弁護士や専門業者などを間に入れた方が良いでしょう。