寒冷地に住んだことがない場合、「水道管が凍結する」もしくは「水道管が凍結によって破裂する」ということを知らない人が多いです。
入居者と物件保有者間でのトラブルにもなりやすい問題なので、
寒冷地の物件を保有している場合、もしくは検討している場合にしっかりと知っておいた方が良い、水道管の凍結トラブルについて書いていきます。
寒冷地のアパートを検討する時の注意
寒冷地の物件では水道管の凍結や破裂、というのは比較的頻繁に起こるトラブルです。
物件を検討している際に、寒冷地の物件なのであれば
- その物件が凍結破裂をどれくらいの頻度で起こしているか
- 築年数や、その土地の特性に応じて、水道管が凍結・破裂しないような対策がとられているかどうか
ということを事前に確認しておくことをおすすめします。
物件によっては「電動水抜き装置」や「凍結防止ヒーター」が設置されている場合もあります。
水道管が凍結してしまったら
まずは水道管が凍結してしまった時の対処法を知っておきましょう。
この対処法を間違えると、水道管が破裂してしまうこともありますので、きちんとした知識を身につけておくことが大切です。
水は出るけどお湯が出ない時
水は出るけどお湯が出ない、という時は給湯器の給水管が凍結している可能性があります。
給湯器の給水管部分にタオルなどを巻き、その上からゆっくりとぬるま湯をかけてみてください。
この時、熱湯をかけてしまうと、その温度差によって管が破裂してしまう可能性があります。
管が破裂したり破損した場合、大掛かりな修繕が必要になる場合はあるので、絶対に熱湯はかけないようにしましょう。
また、給湯器の近くにコンセントがある場合は
ドライヤーなどで温めるのも効果的です。
水もお湯も出ない時
この場合はどの箇所が凍結しているか判断することができません。
なので水道管が凍結した際の対処法を一通り試さなくてはいけなくなります。
露出している「凍結しているのではないか?」と思われる水道管全てに、上記と同じくぬるま湯をかけるかドライヤーを当てる作業を行ってみてください。
また、部屋の中で暖気が行き届いていない部屋の菅が凍結している場合もありますので
全ての部屋に暖気が行き届くようにしてみると良いでしょう。
管理会社がいるなら管理会社に連絡しましょう。
水道管が凍結しやすい条件
水道管が凍結しやすい条件がいくつかあります。
この条件に当てはまる時に水道管凍結予防策をとっておくことで、水道管の凍結を未然に防ぐことができますので
まずは水道管が凍結しやすい条件について知っておきましょう。
水道管の凍結は11〜3月に多発し、九州でも事例があります。
①最低気温がマイナス4度以下の時
最高気温や平均気温に関わらず、最低気温がマイナス4度以下になる場合は凍結が起きやすくなります。
ただ、部分的な凍結の場合は、日中気温が上がることで解消されることもあります。
北海道はもちろんのこと、東北や北陸等でも、凍結事例は多いです。ライズマネジメント所有の物件でも、岩手県所在の物件では毎年のように凍結が起こっていました。
②最高気温が氷点下の時
氷点下の気温がずっと続くと凍結しやすくなります。
最低気温に関わらず、最高気温が氷点下の場合は凍結予防対策をしましょう。
③家を長期間留守にする、部屋が空いている場合
水道管の中を水が流れることによって水道管の凍結を防ぐことができますので
水道がずっと使われない状態にあると、水道管が凍結しやすくなります。
火災保険でも、「現在入居中か?」ということだけでも、保険料が変わります。それだけ長期間の留守はトラブルの原因なのです。
借主が長期間家を留守にする場合や、部屋が空室になっている場合は必ず凍結予防対策をしましょう。
さらに電動水抜き装置や凍結防止ヒーターが作動することもあるので、ブレーカーは落とさない方が良いです。
④日中冷え込む、帰りが遅くなる日
日中あまり気温が上がらない日や、帰宅が遅くなりそうな時は水道管凍結予防対策をしておいた方が良いでしょう。
気温が上がりきらなかったり、夜になって寒さが増す日に
あまり水道が使われていないと、水道管が凍結しやすくなります。
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凍結予防策
では具体的に、水道管が凍結しがちな地域のアパートでやっておくとよい凍結予防対策について書いていきます。
水道管の水を抜いておく
水道管の中の水を空にしておけば、水道管が凍結してしまうことはありません。
水道管凍結予防対策として一番効果的なのは「水抜き」です。
地域によって水抜きの方法は異なりますので、どのように水抜きをすればいいのか、契約をする時に確認しておいた方がいいでしょう。
借主は管理会社もしくは大家さんからしっかりと説明を聞いておき、その方法をできれば動画などで撮影しておくと良いと思います。
大家さん、管理会社もしっかりと借主には説明を怠らないようにしましょう。
物件によっては、室内に電動水抜き装置が設置されていることもあります。最近は増えて来ましたよね。
北海道か、北海道以外かでも水抜きの方法が違います。
水道管だけでなく、給湯器の水抜きも行うようにしましょう。
また、トイレの給水タンクなど、完全に水抜きを行うことができないところには不凍液を利用するのもおすすめです。
給湯器周辺の保温
給湯器本体には電気が通っているので、通常は凍結予防がすでになされています。
給湯器からむき出しになっている管にタオルなどを巻いて保温しておくと、凍結防止になります。
凍結防止用の電熱線(ヒーター)が巻かれていることもあるので、ブレイカーは落とさないようにしましょう。
蛇口付近の保温
室温が低いと、室内でも蛇口付近や水道管が凍結してしまうことがあります。
なるべく家全体に暖気を充満させるようにし、
さらに蛇口や室内の水道管にもタオルを巻いて保温しておくと良いでしょう。
水を流しっぱなしにする
水道管の中を常に水が流れていれば凍結しにくくなります。
就寝前などにちょっとだけ水を出したままにしておくと凍結防止になります。これは寒冷地では一般的な方法ですね。
ただ、水を出しっ放しにしていると水道代もかかってしまうので、本当に少しだけ、糸状にチョロチョロと水を出しておくようにましょう。
また、お湯を出しっ放しにしておくとガスの安全装置が作動してしまうことがあるので、お湯ではなく必ず水を出すようにしてください。
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水道凍結指数を確認!
寒い時期になると、日本気象協会のホームページで「水道凍結指数」を確認することができます。
水道凍結指数は冬季に全国全ての地域で「水道管が凍結してしまう可能性がどれくらいか」という指数を0〜100までの数値で表したものです。
出かける際などにこの指数を参考にして水抜きなどの予防対策を行なうと良いでしょう。
きちんとした手順で凍結予防をできていないと、借主の負担で修繕を行わなくてはいけなくなることもありますし
水抜きなどの凍結防止対策をしっかり説明していないと、修繕費用が大家さん負担になってしまうこともあります。
いずれにせよ、水道管の損傷によって、水漏れが起こることもありますので
火災保険にはしっかり加入しておく、加入してもらう、というのがトラブルを防ぐ一番の方法だと思います。
場合によっては数十万から数百万単位の費用がかかることもありますので、しっかりとルールを徹底しておきましょう。