先日ヤフーニュースに目を引くニュースが掲載されていました。
「孤独死偽装」保険金詐取疑い 貧困ビジネスか 代理店主ら逮捕
孤独死保険という言葉は最近聞くようになった言葉な気がしますが、ついにこういう詐欺が出てくるようになってしまったか、と思いました。
最近は高齢者の単身入居も増え、
孤独死保険に加入されているオーナーさま、あるいは孤独死保険に入居者に入ってもらうようご案内しているオーナーさまも多いのではないでしょうか。
貸し出しをしているお部屋の中で孤独死が起きてしまい、そこから日数が経過してしまうと、特殊清掃が必要になったり、遺品をどうするか、といったことで大変なトラブルとなります。
最近は身寄りがないお年寄りも多いですしね…
今回はニュースになっていた孤独死偽装について、考えてみたいと思います。
孤独死偽装、どんな手口だった?
ニュースになっていた孤独死偽装の手口ですが、
生活保護受給者の70代男性が実際には路上で亡くなっていたのに、自宅で死亡したかのように見せかけて、虚偽の死体検案書を保険会社に提出し、保険金100万円をだましとったとして、
保険代理店の経営者や代表など計3名が逮捕されたという内容でした。
この保険は「賃貸入居者総合保険」というもので、入居者が自室で死亡した場合、
- 室内の遺品整理
- 清掃
- 修理
に充てる費用を100万円を上限に補償する保険だったようで、
契約を仲介した保険代理店(今回容疑者が逮捕された代理店)が請求できる仕組みとなっていました。
入居者だった生活保護受給者である男性の死亡の場所や日時が偽装された死体検案書や虚偽の清掃費などを計上した請求書を保険会社に提出したそうです。
死体検案書は保険会社に提出する時はコピーを提出するもので、
どこで死亡していたかというのは記入欄に「自宅」という選択肢があり、そこに丸をつければ住所に記入が必要なくなります。
簡単に偽装できてしまう文書、ということでもあるわけですね。
今回はこの件のみで逮捕されていますが、実は18年以降にこの男性を含め計17人に関する同様の保険請求で総額1000万円を受け取っていたのだとか。
それらも同じ手口である可能性が高そうですね。
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孤独死保険は大きく分けると2種類
孤独死保険は、
- オーナーが加入する保険(家主型)
- 入居者が加入する保険(入居者型)
の大きく2種類に分かれています。
今回使われたのがどちらなのか明らかにはなっていませんが、後者の方が有力とされています。
オーナー向けの孤独死保険は基本的にお部屋の汚損があった場合に補償されるのに対して、
入居者が加入するものはお部屋に汚損がなくても保険金が支払われる仕組みになっています。
保険形式としては家財保険(火災保険)の特約という形になります。
通常オーナーが孤独死保険を検討するのであればやはりオーナー側で加入する孤独死保険の方ではないかなと思います。
入居者自身で加入する保険の場合は、清掃費用や原状回復費用などはカバーできても、家賃保証などはされないですからね。
もしかしたら、オーナーも共犯ということになると、オーナー側で加入する孤独死保険である可能性もありますね。
また、身寄りのない高齢の入居者が自ら進んで孤独死保険に入るとは思えませんので、
管理会社の方で加入するよう案内していたのかもしれません。
ちなみに今回の事件では、管理会社の代表が保険代理店の実質経営者の妻でした。
生活保護受給者や単身高齢者の入居を受け入れるか
オーナーとして賃貸物件の貸し出しをされている方は、生活保護受給者や単身高齢者の入居を受け入れるかどうか、ということを悩んでいる方もいらっしゃると思います。
私の場合でお話しすると、
必ず家賃保証会社さんは通してもらって、入居していただく、という形にしています。
人によっては、
- 生活保護受給者
- 単身高齢者
- 外国人
はお断り、というやり方をされている方もいらっしゃいますが、
今後さらに高齢者が増えていくことを考えると、このやり方も限界があるのではないかなと思いますね。
最近は核家族化でさらに身寄りがない方が増えてきていますしね。
実際、確かにこういった入居者の方々でトラブルが起こるということもあるんですが、
基本的には家賃保証会社さんの方で補償をしてもらうことができるので、大きな損失が出たことはありません。
孤独死保険も後から登場してきた保険ですし、必ず入らなくてはいけないと言うものでもないように思っています。
ただ地方物件に関しては特に生活保護受給者や単身高齢者の割合が多いので、
どのように対策していくか、ということは管理会社の方とも話し合ってちゃんと考えた方がいいのかな、と思いますね。
その地域での傾向なんかもあると思いますので、このあたりはしっかりとコミュニケーションをとって決めた方がいいと思います。
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