よく、「相続対策で不動産購入をすると良い」という話を聞くと思いますが、
なぜ不動産を購入することが相続対策になるのか、ということを今回は解説してみたいと思います。
不動産だと現金よりも評価が低くなる
相続対策で不動産を購入するといい、と言われるのは、
現金よりも不動産の方が評価額が低くなるからです。
例えば、遺産が1億円の場合、全て現金であれば相続財産の評価額は1億円、ということになり、1億円に対して相続税が課税されます。
それに対して、遺産が時価1億円の不動産の場合は、相続税評価額が6,000万円と評価されたりします。不動産によってどのような評価額になるかは変わってきますが、1億円より安くなることはあっても、1億円より高くなることはありません。
評価額が6,000万円であれば、1億円の価値がある不動産なのに、相続税が課税されるのは6,000万円で良いのです。
現金の場合は4,000万円に課税される分多く相続税を払うことになるので、この分が節税になる、ということですね。
どのような不動産であれ、現金で持っているよりは不動産で持っていた方が「相続」というタイミングでかかるお金のことを考えると、良いわけです。
もちろんそれが負債を産み続ける不動産だった場合は相続対策という意味では良くても、長期的に見るとマイナスになる可能性もありますので、ある程度不動産の精査も必要ですけどね。
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相続税における不動産の評価方法
不動産は土地と建物に分けて評価します。
土地は国税庁が算定している路線価に基づいて評価します。
おおむね土地の評価は【路線価×一定の補正率×地積】です。
簡単に出すのであれば、売買価格の目安とされる公示価格の80%相当が目安となります。
また、固定資産税評価額は公示価格の70%相当が目安となっています。
公示価格は不動産ライブラリの「不動産取引価格情報検索」、「地価公示 都道府県地価調査」で検索可能です。(以前は国土交通省の標準地・基準地検索システムでしたが、2024年4月1日より不動産ライブラリに統合されました)
また、家屋の評価は固定資産税評価額は時価の50%〜70%が目安となります。
関連記事:相続をするとき、土地と建物の評価額はどうやって決まる?
賃貸物件ならさらに評価額が下がる
人に貸し出す賃貸向けの不動産の場合は居住目的の不動産よりも資産価値が低いとみなされるので、より相続対策として有効な手段となります。
なぜ居住目的の不動産よりも資産価値が低いと見なされるのかというと、
賃貸用の物件は賃貸借契約によって借主である入居者の権利が守られているんですね。
そのため貸主の意向で簡単に契約を解除することはできませんし、物件をリフォームしたり売却したり、というのが難しくなります。
そのため、制約の大きい不動産という見なされ方をし、賃貸物件の相続税評価額は低く設定されています。
象族対策のために不動産投資、と言われる理由はここにあるのです。
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不動産を購入する時に融資を利用すれば、さらに節税対策に有効
不動産を購入する時は現金で一括で購入する方法もありますが、
金融機関で融資を受ける、という方法もあります。
相続対策、と考えるのであれば、金融機関で融資を受けて不動産を購入する方が良いです。
というのも、遺産相続の時は、プラスの財産以外に借入や債務などのマイナスの財産も引き継ぐことになります。
金融機関から融資を受けて不動産を購入すれば、その借入金がマイナスの資産として扱われ、債務控除の対象となります。
現金で不動産を購入するよりも、借入分がマイナスされることで、より一層相続税を抑えられるのです。
大きな借金をするのは怖い
と思われる方もいらっしゃると思いますが、
不動産投資ローンを利用する場合は、団体信用生命保険に加入するのが一般的で、これに加入していれば、ローン契約者に万が一のことがあったとしても、ローンの残債の返済義務が免除されます。
そのため、事故や病気などで死亡した場合でも、家族にそのままローンが降りかかってくることはないのです。
ただし、団体信用生命保険を利用してローンの残債の返済が行われた場合、ローンの残債は相続税の債務控除の対象にはなりませんので注意が必要です。
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相続税対策で不動産を購入するならどんな物件がいい?
相続税対策として不動産を購入するのであれば、そこまで利回りの高いものを目指さなくても良いと思います。
利回りが高いということはそれだけリスクもあるということです。
不動産投資で収益をガンガンあげたいということことでないのであれば、都心の中古マンションあたりが一番良いのかなと思います。
立地が良く、この先も賃貸需要がある程度見込めるエリアで購入すると空室リスクのことをあまり考えなくて良いので楽でしょう。
また、一棟ものよりも区分で購入すれば部屋数も1戸なので、管理がしやすいかと思います。
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