不動産投資をしている人がぜひ知識として持っておきたいのが修繕の知識です。
なかなか不動産投資初心者の人が物件を持つ前から修繕まわりの知識を身につけるのは難しいですが、
例えば中古物件を購入する時に「こことあそこの修繕をするのに大体いくらくらいかかるから、利回り的にはこれくらいで…」というシミュレーションをする必要があります。
この時のシミュレーションが甘く、「思っていたよりも多額の修繕費用がかかることになってしまった!」となると想定していた利回りから実際の利回りが大きくかけ離れてしまい、最終的に赤字になって投資失敗…ということになりかねません。
特に想定していたよりも修繕費用が高くになりやすいのは
- 外壁
- 屋根
- 水回り
の修繕です。
今回はこのうちの屋根の修繕について、詳しく解説していきたいと思います。
屋根の修繕は不動産の寿命を伸ばすために必須
建物の劣化のスピードが極端に早まってしまう一番の原因は「水の侵入」です。
水が侵入すると木が腐ったり、鉄部がサビてしまったりして、お家は加速度的に劣化していきます。
そして、外部からの水の侵入を防いでいるのが
- 屋根
- 外壁
です。
この二つのメンテナンスを定期的に行い、建物の寿命をなるべく延ばす、ということが不動産投資をしていく上でとても重要になります。
関連記事:不動産投資の修繕費目安、どんなものにどれくらいお金がかかる?
屋根の種類とするべきメンテナンス
屋根にはいくつかの種類があり、屋根の種類によってメンテナンス内容も変わってきます。
代表的な屋根とそのメンテナンス方法について解説していきます。
瓦屋根
戸建て物件の場合は瓦屋根の物件も多いですよね。
耐久性で言うと60年ほどあり、耐久性だけを見るのであれば一番良い屋根です。
ただ大型地震や大型台風などの大きな災害が起きた時に瓦屋根だと不具合が多く、近年は減少傾向となっています。
瓦屋根にも種類があり、陶器のように焼いているのが焼き瓦。
またセメント瓦や平瓦などがあり、
- 瓦のズレ
- 漆喰の剥がれ
- 屋根と下地の間にあるルーフィングシートという防水シートの劣化
といった劣化が起きてきます。
メンテナンスとしては10年に1度くらいを目安に、
- 瓦の割れやズレがないかの点検
- 漆喰部分の補修
- ルーフィングシートの点検
を行うと良いでしょう。
部分的な瓦の差し替え程度であれば1〜6万円程度から行うことができます。
瓦屋根の場合は築40年以上経ってくると、屋根の葺き替えが必要になるでしょう。
関連記事:リフォーム業者の探し方とは?不動産オーナーの修繕事情
板金屋根
板金屋根には
- ガルバリウム合板
- 亜鉛メッキ合板
- ステンレス板
- 銅板
などの種類があります。
近年多く使われている屋根材ですが、金属なのでサビに弱いという特徴があります。
ただ耐久性は高いので20年に1度くらいを目安に、塗装と接合部分の点検を行った方が良いでしょう。
サビからできてしまう穴から水が侵入することで、ルーフィングシートの劣化、野地板まで水が侵入し、腐食してしまいます。
スレート屋根
スレート屋根はセメントを加工して薄い板状にしてある屋根材です。
日本で最も多く使用されている屋根材で、
- カラーベスト
- コロニアル
と呼ばれることもあり、メーカーごとに商品名が異なります。
スレート屋根の場合は7年くらいで劣化が始まり、河原や板金に比べると耐久性に劣ります。
点検は10年に1度くらいがおすすめです。
関連記事:悪徳リフォーム業者の手口ってどんなもの?
屋根の修繕にかかる費用
では屋根の修繕にかかる費用はどれくらいなのでしょうか?
内容とともに紹介していきます。
足場代
屋根の修繕ではほとんどの場合作業をするための足場を組む必要が出てきます。
大規模修繕で何が高いってこの足場代が一番高いんですよね。
例えば30坪程度の2階建ての建物だと、足場の面積は200m2から300m2。
1m2あたりの費用が600〜1000円程度なので、12〜20万円程度の費用がかかります。
一戸建てならまだ良いですが、アパートになると足場を組む面積が大きくなりますからどうしてもここにお金がかかります。
塗装費用
30坪程度の2階建ての建物で、塗装費用は大体20〜50万円程度。
高圧洗浄をした後に下塗り、中塗り、上塗りと3回塗装を行います。
これでかなり見た目が改善されます。
葺き替え
30坪程度の2階建ての建物で約90〜150万円程度。
全面的な屋根のリフォームで、既存の屋根材を撤去し、新しい屋根材に取り替えるのが葺き替えと呼ばれる修繕です。
この場合は既存の古い屋根材は処分しなくてはいけないので、その処分費用もかかります。
葺き替える屋根の素材によっても金額が大きく変わります。
カバー工法
30坪程度の2階建ての建物で60〜100万円程度。
既存の屋根材の上に防水剤を被せ、新しい屋根材を重ねて施工する修繕方法です。重ね葺きとも言います。
瓦屋根の場合は葺き替えじゃないとできませんが、スレートや金属屋根の場合はカバー工法が使えて、むしろこちらの方が主流となっています。
古い屋根の素材を処分しなくて済むのでコストも抑えられます。
ただ屋根部分の重さが重くなるので、積雪の多い地域などはカバー工法が向かないケースもあります。
関連記事:火災保険で雨漏りはなおせる?経年劣化だと適用されない?
不動産を購入する時は最低限屋根の種類と、だいたいどれくらいの修繕費用がかかるのか、ということを把握しておきたいものですね。